衣葡林 長安乱れ花 飛将呂布

【最終話】

 

淫靡な水音が部屋にこだましている。
董卓とその配下は衣撫林の周囲を取り囲み、目をギラギラとさせてその様子を見つめてる。

「すごい! 類がこれほどまでに人間の女に欲情するとは驚いたぞ……」
「閣下、これは最高の見世物ですな~」

類の交尾は想像以上に激しいが、その分人間の男のように抑えることができず、当然射精も早い。
三分ほどの間、猛烈に抽送を繰り返すと、呆気なく果ててしまった。
ただし精液の量が半端なものではなく、延々と射精が続いた。
まもなく衣撫林の谷間から白い液体が溢れ出した。

一頭が果てると、次の一頭が挑む。
待機している残りの四頭もおとなしく待っているわけではなく、常に衣撫林の随所にその長い舌を這わせている。
五頭の猛攻が終わっても、最初の一頭がふたたび挑みかかってくる。
五時間もの間、延々とけものたちの交尾は続く。
終盤になると衣撫林の身体の力が抜け、意識が薄れ、指先の一本すら動かすことができなくなっている。
それでも容赦なくけものたちの蹂躙は続いた。

「ぐぐっ……類にこれだけ責められて吐かぬとは、何としぶとい女じゃ。やむを得ぬ。殺すしかないな……」
「へへへへへ、殺す前に我々が少しだけ味わっても構いませんか? これほどの上玉は滅多に手に入りませんので」
「好きにするがよい」
「おお!これはありがたい!」
「閣下、感謝いたします!」

手下たちが手を打って喜んだそのとき、すごい速さで一本の矢が彼らの前を横切った。

「ぎゃ~~~~~!!」

次の瞬間、董卓は大声を上げると、その巨体をまるで大木が倒れるようにゆっくりと倒れてしまった。
仰向けに倒れた董卓の胸には一本の矢が突き刺さっている。
手下の兵士たちは狼狽するばかり。

「董卓様!」
「何者だっ!」

「見て分からぬか?私を」

そこに現れたのは身の丈が優にニメートルはある董卓の参謀呂布であった。

「りょ、呂布将軍! なぜ閣下を!?」
「董卓は後漢を滅亡に追い込んだ張本人だ。世間の人々から反感と嫌悪の情を持たれておることはおまえたちも知っているはず。そんな愚男が天下を治めるなど笑止。董卓に代わって、この私が長安を収めることにする!」
「何を!この裏切り者め!」
「おのれっ!」
「おまえたちにこの私が切れると思ってるのか? 皆の者、この雑魚どもをやってしまえ!」
「おお~っ!」
「やれっ!」
「わ~!」
「うわ~っ!」
「ぐわっ~~~!」

呂布軍が一斉に董卓の手下たちに切りかかり、彼らはひとたまりもなく倒されてしまった。
呂布は弓馬の術にすぐれ、また抜群の腕力を持ち、飛将と呼ばれていた。
ただ、彼は〝裏切りの呂布〟とも言われたように生涯ひとりの上司に忠節を尽くすことはなかった。
董卓の謀で董卓が敵対する実父をも殺し、金銀財宝、官位、名馬『赤兎(せきと)』をも手に入れた。
そして騎都尉に任じられ、董卓にも目をかけられ、父子の契りまで結んだ。
ところが今また野心のため、その董卓をも殺害したのであった。
ただ董卓を殺害するまでにひとつに経緯があった。
彼はその腕を買われ、常に董卓の護衛をしていた。
しかし、董卓は気性が激しくおさえの効かない性格で、後先考えずに怒ることがよくあった。
呂布はある時、気にくわないことがありカッとした董卓に戟を投げつけられた。
殺されそうになるが、呂布はその腕力と敏捷さで身をかわし、董卓に謝ったのでその場は収まった。
しかし、呂布はこのことから董卓を恨むようになった。

そのように人としては信頼できない呂布ではあったが、女性に関しては実に純粋で初心な面があった。
偶然助け出した衣撫林を一目で好きになってしまったのは、彼女の美しさから仕方がなかった。
呂布は衣撫林から暗殺計画の一部始終を聞き、ひとまず親元・王允のもとへ返してやることにした。
衣撫林との去り際、彼は彼女に告げた。

「天下統一の暁には必ず迎えに来る。待っていて欲しい」と。

衣撫林は深くうなづいた。

呂布は董卓を殺した功により、奮武将軍に任命され、温侯に封じられた。
しかし、董卓の残党の李・郭らが長安を攻撃してきて、支えきれず袁術のもとに逃亡した。
ところが、袁術は、二度も主を殺した呂布の変節ぶりを嫌い、受け入れてくれなかった。
そこであきらめて、次は袁紹のもとへ身を寄せた。
その後、叛服常無く群雄の間を渡り歩いて裏切りと離反を繰返し、ついにはあらゆる城主からも不興を買い、最後、曹操に処刑されることになった。

衣撫林は呂布がそのような悪名高い男とは知らず、ただ彼の勇猛さと優しさに心を奪われていた。
何しろ命の恩人である。彼を慕ったとしても不思議ではなかったろう。
やがて風の便りで彼の死を聞きつけ、夜毎涙したという。
だが父の王允は、呂布の元に走らなかったことを内心喜んだ。
そして王允は衣撫林に言った。

「泣くな、衣撫林よ。悲しいだろうがこれが戦国の世というもの。呂布殿に嫁いでおったならば、そなたは今頃この世にいなかったろう。嫁がなかったことを喜ぶべきじゃ」
「喜べません。この世に生を受けて何年生きるかが大事なのではなく、どのように生きるかが大事だと思うのです。私は例えこの身が滅ぼうとも、あの方の元に嫁ぎたかった……」

衣撫林のこの言葉には、さすがの王允も返す言葉が見つからなかった。
呂布が没した後、中国では直も混迷を深め、やがては三国の時代へと移り変わって行くのであるが、衣撫林のその名は後に歴史の表舞台に登場することは二度となかった。

【衣葡林 長安乱れ花 完】

<後書き>
この作品は、三国志をモチーフにしておりますが、三国志の本説とは何ら関係がありません。

 
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この作品は、愛と官能の美学 Shyrock様から投稿していただきました。
尚、著作権は、愛と官能の美学 Shyrock様に属しております。
無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。
 
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