バレンタイン~白い幸福~ 白い幸福

 

【第2話】

車井ならばきっと『清楚な白いショーツ』の意味を理解してくれるはずだ。
あなた色に染めてください……という意味を。
イヴはプレゼントにはあえてカードを添えなかった。そして名前も書かなかった。

イヴは思った。
車井課長といっしょに仕事をするときにあの香水をほんの少しだけ着けている。プレゼントした下着から漂う香りで私だと気づくかしら…… 
プレゼントに名前を書いてなければ、車井はきっと「誰がくれたのだろう?」と気にするはず。
名前を記載したプレゼントよりも意識がそちらに傾く。
車井は察しのよい人だからきっと思考を巡らせて最終的に私にたどり着く……
もしたどり着かなければ、私への想いは所詮その程度のものと考え諦める。
うまく行けば一気に進展する可能性もある。
ホワイトデーの頃にはもしかしたら車井自ら下着を買ってくれるぐらいの関係になっているかも知れない。
ベビーピンクのブラとTバックショーツがいいなあ。そして……

イヴは車井の指がベビーピンクの下着に掛かるシーンを想像して頬を紅潮させた。

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バレンタインデーの翌日、職場のイヴ専用のパソコンに1通の社内メールが届いた。
驚いたことにそれは車井からであった。

「今週金曜日の夜、ご都合はいかがでしょうか?最近天界町に『Blanc Bonheur(ブラン ボヌール)』と言うフランス料理店がオープンして、これが結構評判なんです。もしよかったらご一緒にいかがですか?」

イヴの胸は高鳴った。
まさかこんなに早く反応があるとは……

(でも、あのプレゼントの贈り主が私だともう分かったのだろうか?)

もしかしたらプレゼントとは関係なく単なる偶然かも知れない。
イヴとしてはまだ確信が持てなかった。

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(へえ~、フランス料理か~、楽しみだわ。ところで『ブラン ボヌール』ってどんな意味なのかしら……?)

イヴは店の名前がふと気になった。
卒業してからというもの一度も開いていないフランス語辞書を本棚から取り出してめくってみた。

「へえ、そうなんだ……」

『ブラン ボヌール』とは『白い幸福』という意味だった。
バレンタインデーの贈り物のお返しとして、男性から女性へキャンデー等を贈る日として生まれたのがホワイトデー。ホワイトには「幸福を呼ぶ」という意味がありそのように命名されたと聞いたことがある。
言葉の意味が分かった瞬間、イヴは何か素晴らしいことが始まるような予感がした。

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そして約束の日がやって来た。
イヴは夕方の4時頃からやりかけていた書類作りを早めに済ませ、時計ばかりを覗いていた。
今日はやたら時間が経つのが遅いように思われた。
その時、向い側に座っている真知子がイヴの様子を見て皮肉っぽくささやいた。

「ふ~ん、早乙女さん、今日はデートなんでしょう?」

イヴは突然の真知子の言葉に少し驚きを隠せなかったが直ぐに平静を装い、

「ええ~?そんなんじゃないよ~。今日は同窓会があるんだ」
「ふ~ん、そうなんだ。急いで仕事を片付けてるし、それにさっきから時間気にしているし、てっきりデートだと思ったわ」
「あはは、そうだったらいいんだけどね~」

デートだと悟られても別に構わないのだが、相手が車井だということだけは絶対秘密にしたかった。
ようやく終業時刻を迎えたイヴはそそくさと席を立ち更衣室へと向かった。
イヴは事務服を脱いだあと、何気にキャミソールのストラップを少しずらしブラジャーを眺めた。
ブラジャーの色はベビーピンクだった。もちろんパンティも同様だ。
 
(今夜このブラジャーを外すことになるのかな……?そんな直ぐという訳にはいかないか……)

イヴはロッカーの鏡を見つめながらそんなことを考えた。

約束時間は6時、待ち合わせ場所は天界町駅の改札口であった。
約束時間の5分前に着いたら、すでに車井は待っていた。

「課長、お待たせしてすみません」
「いや、僕も今着いたばかりだよ。それにしても今日は冷えるね」
「今日はこの冬一番の冷え込みだそうです」
「道理でね。さあ、早く店に行って暖まらなくちゃ。早乙女さんはフランス料理で苦手なものってあるの?」
「いいえ、何でもいけますよ」

 
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