私の身体を捧げます 少女の覚悟

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【第2話】

 

閉じられていた扉が静かに開かれる。
教室後方の出入り口から中へと、詰襟の学生服を着た人影が入って来る気配を感じる。

(顔を上げなさいよ。隼人君が来てくれたのよ。わたしの手紙をちゃんと読んでくれて、クラスメイトのいなくなった放課後の教室へと、優子、あなたに会うために)

心の中の優子に叱咤された。
待ちに待った瞬間なのに、全身を震わせるような不安と、なぜか恐ろしいモノも感じて、未だに少女の視線は机へと落とされたままであった。

「手紙を読んで来たんだけど。川口さん」

相変わらずの口調であった。
ニヒルなまでに感情を押さえた声音は、紛れもなく少女が求め続けた男のモノ。

「あ、ありがとう。吉村君……本当にありがとう」

優子は顔を上げた。
腰かけていた椅子を引き倒すかのような勢いで立ち上がり、教室の後ろに立つ少年の元へと脇目も振らずに駆け寄っていた。

その目は涙に暮れていた。
憧れの人の姿さえも、ピントのずれた写真のままに揺らいでいた。

「ところで川口さん、この手紙に書いてあることって、本気なの?」

「う、うん……本気。わたし、吉村君のことが……その、ずっと前から……」

「好意を寄せていた。そういうことだよね」

「は、はい……吉村君のことが……わたし、好きです。だから……」

夕陽が射しこんでいた。
柔らかなオレンジ色に染められた教室で、若い男女は向き合っていた。

その少年、吉村の手には、優子にとってはっきりと見覚えのある横長の封筒が。
無残にも折り曲げられたソレを、彼の左の手の指が雑な感じでつまみぶら下げながら。

(告白……そう、わたしは隼人君に想いを伝えたんだ。答えはもらってないけど)

ゴクリと優子の喉が鳴る。
それを向き合う冷めた両目が見つめ、おもむろに唇が動いた。

「えーっと、つまらなそうな前文は抜粋と」

つままれていた封筒が落とされていた。
折り目のついた学生ズボンの足元へと、優子の目が行ったすきに吉村の声が響いた。

「よ、吉村君……?」

「正直に言います。私、川口優子は、吉村君のことが好きです。吉村君、いいえ、このお手紙の中では隼人君と呼ばせて。私は隼人君が大好きです。2年生になってクラスが一緒になる前から。そう、隼人君と初めて目が合った高校生活が始まる入学式の時から、私は隼人君のことが好きで好きで、それを考えているだけで胸の中がとても辛いくらいに苦しくなってきて。でも、私はそんなに美人でも可愛くないし、きっと隼人君と付き合っている人は、私なんかよりも何倍も美人でスタイルも良くって。勝てっこないよね。このままだと。どんなに私が隼人君のことを想っていても。これでは、ただの片思いだよね」

まるで朗読をするかのように、吉村は読み上げていく。
優子の想いが詰まった恋文を、軽く目を流しながら、一言も詰まることなく淡々と。

「お願い、これ以上は声にして読まないで」

「なにを言ってるのさ。この手紙を僕のために書いたのは、君本人なんだろ。だったらさ、僕からの返答の前に、川口さんの決意を確かめておかないと。ここから先に書いてあることが、一番重要だからね」

主導権は、出会った時から男の方に握られているのだ。
戸惑い、弱々しく口を開いた優子の想いなど、吉村は聞き耳持たぬというように、2枚目の便箋へと目を移していく。

「だから、決めたの。勝手に決意したの。私は、優子は、隼人君への想いが届くなら。だって、私が隼人君とお付き合い? 私が隼人君の恋人? ううん、今のままではそんなこと、見果てぬ夢でしかないから。私にとっても我儘で大切なお願いを聞いてください。優子を抱いてください。優子のことが好きにならなくてもいいから、私の身体を隼人君に捧げさせてください。たった一度でいいから、隼人君と一つにさせてください。セックス……そう、優子とエッチをしてください。そのためなら私は、隼人君の言うことは何でも聞きますから。お願いします」

読み終わり、吉村はふぅーっと息を吐き出した。
そして封筒を剥ぎ取られ、裸にされた2枚の便箋を立ち竦む優子の前へと差し出した。

「セックスしたいんでしょ? 僕と」

 
 

 
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