あや キックオフ 初デートはまさかの一泊旅行

 

【第1話】

「せんぱい~~~」
「あや、ベッドに入ってまでその先輩って呼び方はやめてくれよ~」
「あっ、ごめんなさい!つい口癖が出ちゃって。じゃあ、改めて、中岡さ~ん」
「苗字で呼ぶのもクラブの練習中みたいで何か嫌だなあ」
「じゃあ、どう呼べばいいのですか?」
「ヒデでいいんだよ、ヒデで」
「でも先輩を名前で呼ぶなんて……」
「あのなぁ。ベッドに入ったら単なる男と女なんだぞ。先輩も後輩もないよ。対等~、対等なんだぞ」
「あ、そうなんですか。じゃあ、思い切って呼んじゃいますっ!ヒデ~!」
「そんな大声で叫ばなくても…。隣の部屋に聞こえたらどうするんだよ。もっとこう雰囲気を出して、色っぽく呼べないのかなぁ」
「そんなぁ…先輩は注文が多すぎますぅ~」
「ははははは~、あやをからかうと楽しいな~」
「ええ~っ!?今までずっとからかってたのですか?酷い!こらあ~~~!ヒデ~~~ッ!」
「ひえ~!おっかないや!」

あやが英俊に挑みかかり優勢に見えたのは初めのうちだけで、一気に形勢が逆転して英俊があやの手首を掴んでしまった。

「やん!」

英俊を押さ込もうとしていたあやであったが、逆に英俊にいとも簡単に掴まってしまい、立場が完全に入れ代わってしまった。

「きゃあ~、やん~!」

あやは現在、県立高校3年生でサッカー部のマネージャーを勤めている。
くっきりとした大きな瞳が印象的で、竹を割ったようなあっさりとした性格と持ち前の明るさが、クラスやクラブでも人気の的だった。
あやの彼氏、中岡英俊はあやよりも1学年先輩で、サッカー部の部長を務めていた。
その並外れたキック力とボールの足裁きは天才的と言われ、中学時代から注目を集めていた。
当然Jリーグ数球団からも誘いがあったが、全て断り大学進学の道を選んだのだった。
そのため故郷を遠く離れ東京に引越しをすることになった。
あやと英俊は在学中から同じクラブだった事もあり、互いの気心は知り尽くしていた。
いつしかふたりの間に恋愛感情が芽生えたが、クラブ内での恋愛は試合や練習に差し障りがあるという英俊の生真面目さから、ふたりは肉体的に結ばれることはなかった。

まもなく英俊は高校を卒業し、4月になればあやは3年に進級することになる。
そしてついには英俊が東京に行ってしまう。
あやは英俊に思いの丈をぶつけた。
その結果、英俊も同じ気持だと言うことが分かった。

「先輩、お願いがあるんです。先輩が東京に行くまでに一度私とデートしてくれませんか?」
「うん、いいよ」
「わ~い、嬉しい~!」

あやは英俊が快く承諾してくれたことを心から喜んだ。
いつもはクールな英俊だが、今日はいつもと違ってあやの喜ぶ顔を見て満足そうに笑ってる。
そして英俊の口から思いがけない言葉が飛び出した。

「あや、今だから言うけど」
「はい……?」
「オレはお前が好きだ。いや、もっと正確に言うと以前からお前の事が好きだった」
「せんぱい……」

あやは突然の英俊からの告白に、感極まって泣きそうになった。
いや、すでに涙目になっていた。
どうして在学中に言ってくれなかったのだろうか……
別れ際になってから告げるなんて……
この春から東京に行ってしまう英俊のことが呪わしくさえ思われた。
だが、あやは愛を告げられたことが心から嬉しかった。

「せんぱい…ありがとう……。私も…私もずっとずっと前から先輩のこと好きだったんです……」
「え?本当に!?そうだったのか……」

英俊はあやから告げられる以前から、態度や素振りでおおよそ彼女の気持が解っていた。

(だけど恋に溺れてしまうと、たぶんサッカーに実が入らなくなってしまうだろう)

と、気持ちを抑えていた。

英俊のサッカーにかける情熱は並外れたものだった。
自分を一途に思ってくれているあやに、何か素敵な思い出を作ってやりたかった。

「あや、どうせデートするなら、いっその事一泊旅行しようよ」
「ええ~っ!ほ、本当ですかぁ~~~!?」

英俊からの思いがけない誘いに、あやはただただ驚くばかりであった。
あやとすれば例えわずかな時間でも英俊と過ごせればそれでよかった。
それがまさか一泊旅行というすごいリターンエースが英俊から返ってくるとは……
あやはあまりの感激のため頭が真っ白になってしまった。

「あや、無理か?」
「え!?無理だなんてそんなぁ~。せ、先輩~っ!よろしくお願いします!」
「ぷぷぷっ!」
「先輩、何がそんなにおかしいんですか?」
「だってまるで合宿にでも誘ってOKをくれた時みたいじゃないか」
「え~?本当ですか~?」
「うん、そう感じた」

ふたりは県内にある総合レジャーランドへ行くことになった。
海を眺めながらのパットゴルフを楽しめるし、近場だが遠出気分を味わえる。
それに何より格安と言うのが学生の身にはありがたい。
あやたちはすぐにレジャーランドの近くにあるペンションを予約した。

あや達が廻るパットゴルフのコースは岸壁近くにあった。

 

 
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