【第11章(8)】
気持ち良い。声と共に体の力が抜けていく。
「あ…ああ………あ…ああぁぁ…」
「はぁはぁ…ふぅー…」
御主人様は私を上に乗せたままコンクリートの床に倒れ込んだ。
「昼休みの短時間に、二発はキツイな。疲れた。」
キンッシュボッ
「ふぅ――…」
「もう…また…」
キーン…コーン…カーン…コーン…
「ぶッ…やべッ、もう授業が!!」
「うわッ遅刻です!」
私は急ぎ御主人様から離れ、服を直し、ポケットティッシュで逆流してきた精液を拭いて、パンティとスカートを直した。
「くそッ二発もせがむんじゃねぇ!」
「そんな!? 御主人様がその気にさせたんじゃないですか!」
「ああもう! そんな事より授業だよ! 授業!」
急いでお弁当を片付け、ホコリを祓い、急いで準備する。
御主人様は煙草の臭いを消すため終始背広を扇いでいた。
…
…
…
結局、遅刻。
生徒たちからも教育実習生からも注意されてしまった。
これも御主人様のせいだ。
…
…
…
私たちはそれから午後の授業を終らせ、正門で待ち合わせた後、病院へ行った。
律海総合病院。私の通う病院であり、姉が勤めている場所だ。
まだ新しく、ツルツルと滑りそうな廊下を歩き眼科診療室に入った。
…
…
…
「え?…今なんて…?」
診療後、医師の言葉に目を見開いた。心配で見に来ていた姉さんも言葉を失っていた。
「良好だよ。本当に少しではあるけど回復している。」
「う…そ…」
いつもは励ますような医師の声も、今日は穏やかで祝福しているようだ。
「暁さんの目は、元々そんなに傷付いていないと前に言ったね。」
「は、はい…」
「原因の大半は精神的なものだったんだ。以前まで君は、両親の死を引きずって、ポジティブな考えを全て捨てていたようだ。
きっと何か楽しいと思えるような事を見付けたんじゃないかな。」
楽しいと思えるかは兎も角、彼の影響だろう。
彼の奔放さに感化され、憧れ、彼に好かれようと努力した。それが私の目を治すことになるなんて考えもしなかった。
「まだまだ時間はかかるだろう。でも今のまま、前向きな考えを捨てなければ君の視力は回復するよ。」
涙が溢れた。
目が回復する。また明るい世界を見ることが出来る。
そして彼をこの目で見ることが出来る。
姉さんの声を抑えた泣き声も聞こえていた。
彼は私を光ある世界へと連れていってくれる。
意識はしていない。深い考えなんてない。
でも彼が言う通り、彼は私を導いてくれた。
服従が私に運んだものは快楽だけじゃない。
「よう。結果どうだった?」
診療室の外で彼が待っていた。いつもの気の抜けた優しい声。
「!?」
私はその声の方へ飛込んだ。彼の胸板に顔を埋めた。
「ありがとうございます…」
「あ? 何のことだ?」
「色々と…です…」
「…あっそ。」
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