【第3話】
しばらくするとまたアナウンスがあった。
「準備はできましたか?まもなくスクリーンに風景が現れます。いつでも剣と盾を使えるように準備をしておいてください。では城の中へ・・・」
アナウンスが終わる頃、スクリーンに映像が映し出された。
正面に城がそびえ、その上には青空が広がっている。自分は城に向かって駆けているようで、城がグングン近づいてくる。敵は1人も現れてこない。まさに嵐の前の静けさと言った風情だ。
「このままだとラクなんだけどなぁ」
ありさは心細そうにぽつりとつぶやいた。
城門に近づくと扉が自動的に開いた。
「なんで自動ドアなのよ~」
つまらないことで、ありさはぼやいた。
ここでは城門を突き破る場面など必要ないので省略してあるだけなのだ。
城の中は薄暗く魔界城らしくおどろおどろした雰囲気を醸し出していた。
「何よ・・・何もいないじゃん・・・」
と、その時、突然、画面中央に恐ろしい化け物が現れた。アナウンスで言っていた淫獣ザッハークのようだ。身体全体が緑色に覆われていて、もじゃもじゃ頭から角が生えていて目が金色に光っている。それだけではない、淫獣の両肩から無数の触手がにょきにょきと生えていた。
「ぎゃあああああああああ~~~!!キモいよおおおおおお~~~!!」
ありさはその恐ろしい姿を見ただけで震え上がってしまった。
画面から淫獣ザッハークらしき怪物がささやいた。
『グフフフフ、よく来たな。私は淫獣ザッハークだ。もうここから先へは進ませぬぞ。私の可愛い分身達の餌食になるがよい!それっ!!』
「ひぃっ!!」
言うが早いか、ザッハークの両肩でとぐろを巻いていた触手が数匹襲ってきた。
「きゃあああ~~~~~~~~~~!!」
ありさはふと剣と盾を操作するボタンを思い出し、必死に連打した。
『うぎゃぁ~~~~~~~!!』
適当にボタンを押しただけだが、運良く敵に命中したようだ。触手にダメージがあったようで不気味な悲鳴が聞こえてきた。
「キモぃ・・・」
間髪を容れず次の触手が襲ってきた。
「きゃあああ~~~!また来たあああ~~~~~!!」
ありさはボタンを叩く。しかし腕に輪っかが填められていて手が自由に動かない。もどかしさが募る。
「もう~思うように動かせないじゃん~。ひぃ~~~!」
どうにか敵の第2部隊を振り切ったようだ。
しかし次から次へと止めどなくなく触手は襲ってくる。
「もう~いやだあああ~~~~~!!」
ボタンを連打する。
「ん・・・!?」
次の瞬間、ありさは身体に異変を感じた。
股間が何やらくすぐったい。
「え~~~~~~!?う、うそ~~~~~~っ!!」
固定された両足の間に何か得体の知れないものが忍び込んでいるではないか。
それはぬるりと湿っていて、まるで軟体動物のような感触だった。
バーチャルのはずが、実体を得て画面から飛び出してきたと言うのか。
ありさは恐怖で声が出なくなってしまっていた。
「ひぃ・・・そ、そんなバカな・・・・・バーチャルのはずじゃ・・・」
ヘッドホンから低い声が聞こえてきた。あのザッハークの声だ。
『数匹の触手は無残にお前の剣に葬られてしまったが、運良くお前の剣をかわした触手がお前の秘部を捉えた。触手よ!この女に仲間たちの復讐をするのだ!犯せ!この女を徹底的に犯すのだ!!』
「いやあああ~~~~~~~~~~~~~~~!!そんなことやめてえええ~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
ありさは今体験していることがアミューズメントであることをすっかりを忘れ、現実に受難したかのように半泣きになってしまった。
いや、アミューズメントとは言っても、何かが股間に忍び込んだのは錯覚ではなく実体であっただけに、ありさが錯乱を起こしたのも無理はなかった。
得体の知れない物体は、今まさにぴったりと合わさったありさの秘め貝をこじ開けようとしていた。
野々宮ありさ
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