めぐみ 彼待ち草

めぐみにとって、恋人の彼の出張は本当に長い。
彼の名は翔太。
3日間も会えない。
電話もない。
それに今日は一日中雨、まだ梅雨が明けてくれない。
夜になっても外では霧雨が静かに降り続けている。
さっきより少し小降りになったみたいだが、ちょっと寂しくて物思いに耽ってしまう。
めぐみは電気を消した部屋の中で電話を待っていた。
ベットの上で膝を抱えていた。
部屋の薄暗いグレーの風景の中で携帯のデジタルだけが光っていた。
静かな雨の音を聞きながら、それだけを見ていた。
鳴ったらパッと取りたい。

(最初に何て言おうかな?)

そればかり考えている。
翔太からの電話はちっとも来ない。
電話を取り損ねてはいけないと、風呂にも入らずに待っているのに。

手で悪戯するようにめぐみは自分のスカートから伸びる臑(すね)をつんつんと指先でついた。

(なぜなんだろう?)

自分の指では感じない。
翔太に触られるとじわっと温かさが身体中に広がる。

ぴくんと身体がびっくりする。
軽くキスされても、身体中にキスされているみたいだ。
まるで梅雨に濡れたときのように彼のキスが身体中に滲みてくる。
雨と違って、後になっても心の奥に染みわたってくる。
めぐみの身体も濡れてくる。

(匂いかしら?)

男の人の誰もがいいわけではない。
むしろ潔癖なめぐみは翔太以外の男の匂いは好きになれない。
翔太の梅雨のような雨が好き。
身体中に降らせて欲しい。
彼の空気のようなものに包まれて、もう全てのことがどうでも良くなってしまう。

「これって最終解脱よね」

って一頃の流行の言葉を使って説明したことを思い出す。
きっと物理や化学で説明できない何かの不思議な存在が翔太との間にはある。
そんなことを考えるだけでお腹の底の方が熱くなってくる。
もっとキスしてって言いたくなる。
電話の優しい声も好き。
翔太が愛しているよって言ってくれるだけで次の日は明るい気持ちになる。

美味しいお茶を嫌いな部長にサービスしてしまう。

この出張は支店の仕事の手伝いで、残業続きで忙しいとは聞いている。
でも電話してくれそうな気がする。
めぐみはスカートの上からパンティを確かめた。

「私、今パンティを穿いてないのよ」
 って電話で言ったら彼がびっくりするかしら?

たぶんそんなことは言えないと思うけれど、一度電話で愛し合ってみたい。
真面目な彼がそんなことに付き合ってくれるとは思わないけど、「めぐみとしたい」って言ってくれると嬉しい。
ベットでの太くてにょきっとした彼を思い出す。
彼は無理をせずに優しく愛してくれる人なのに、そこだけはとっても男らしい。

そんな想いに耽っていたとき、携帯がチカチカと点りメロディーを奏でた。
めぐみはまるでいけない妄想を見られていたかのような錯覚に陥り、顔をほんのりと赤らめて携帯を取った。


【めぐみ 彼待ち草 完】

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