青海瑠璃 後編(8)

【後編(8)】

「天使や妖精と契約した気でいたんすか? 舐めてもらっちゃ困りやすねぇ…」

紅い瞳は冷たく、陶器のように白い肌はぞっとするほど美しい。

「あたしゃ…悪魔ですよ? 悪魔は約束は守るがせっかちなんでね」

その眼光に硬直した陽菜を暫く見つめていたが、妖子はゆっくりとまた壁をとおり抜ける。

「元々アンタの命は、二人分の人生に値するほど重くないんだ。その軽い魂で条件を飲んでやったこちらに感謝してほしいくらいですよ」
「…や…嫌…私、どうなるの…?」

陽菜の声は震えていた。座り込む彼女に、返るのは、声のみ。

「この空間にゃ、食欲も睡眠欲もありはしない。アンタの魂が充分恐怖と絶望にまみれたら…いただきやしょう」

音が消える。光が段々と落ちていく。
すべてが闇に包まれ、死への恐怖と手に入れた途端失った絶望に、覆われる。

・・・・
・・・
・・

「嫌…い、や………いやぁあぁあああっッ!!!!」

闇にこだまする悲鳴に、妖子がゆっくり微笑んだ。

「…まいどあり」

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もう何時間が過ぎたのだろう。
魚月はコバルトブルーの髪の少年から、調教を受け続けていた。

最初は泣いていただけだったが、段々無駄だとわかってきておとなしくした。
絶望に満たされ、涙が涸れた。

彼は調教を一段落終えたのか、隣に座って自分の話を始めた。

名前は魔御。こんな恰好だけど魔物なのだという。
水属性で、鱗とかあるドラゴンなんだと彼は笑った。

信じられないと言った瞳で見つめたら、彼は鏡の前に立った。
そこに写ったのは、コバルトブルーの鱗に包まれた美しい竜だった。翼もあるのに、少し魚じみていた。鰭があった。

けれど本当に美しく、神話の世界にいそうな荘厳さがあった。

彼は主がいるといった。美しい女の主が。

「僕、あの人のためならなんだって平気だからさ。流石に放置はつらいけど…構ってもらえるなら殺されたっていい」

彼の瞳は恋人のことを思っているようで、彼の口調は母親のことを語っているようだった。
そして彼は、優しくこういった。

「…君のこと、悪いようにはしないよ。妖子様は優しいから」

アヤコというのが彼の主だということ以外、彼の言葉の意味がわからなかった。

海斗に、会いたかった。

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「魔御」

不意に聞こえた声に顔をあげると、漆黒のドレスを纏った少女がドアのところにいた。

「お客様がお迎えにきやした。そのお嬢さん連れて来てくださいな」
「はい」

その言葉に、魚月の体が強張る。

いよいよだ。
いよいよ陽菜のものにされてしまうのだ。親友だと思っていた彼女に。

不思議と、暴れる気にはならなかった。
数十時間に及ぶ調教への恐怖と、逆らっても無駄であるという絶望感のせいだろう。

首輪の鎖を引かれ、四つん這いで魔御に攣れていかれるまま歩いた。

彼女は何と言うだろうか。瑠璃もこんな気持ちだったのだろうか。
あぁ、こんなことなら海斗に告白してしまえばよかった。

フラれたっていいから、告白してしまえばよかった。

フカフカの赤い絨毯の部屋に通され、魚月は俯いたままソファの側まで連れて来られる。
顔をあげるのが怖くて、ソファの脚を見つめていた。

 
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この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。 
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