シチリアの熱い風 予期せぬ訪問者

【第6話】


「早乙女イヴサンデスネ?オキャク様ガコラレテマス。電話変ワリマス。」

(お客様?一体誰だろう?イタリアに知り合いなんかいるはずがない。ジョルジョ??おかしいなあ・・・彼なら部屋に直接来るはずだし・・・)

私は訝しげに思いながら受話器を取ったそのとき、耳を疑う声が飛び込んできた。

「イヴっ!?」
「う、うそ!・・・俊介!?」

まさか・・・
車野俊介なら日本にいるはずだ。
イタリアに来たなんて信じられない。
彼とは別れたはずだし。

「イヴ、急に海外旅行に行ってしまってずっと帰って来ないから心配してたんだよ~。君の居所を調べるのに苦労をしたよ。でも実家に教えてもらってやっと分かったんだ」
「俊介さん、会社はだいじょうぶなの?あれだけ忙しいと言っていたのに・・・」
「だいじょうぶ!ってか、あんまり大丈夫じゃないんだけどさ。ははは~。実は、年休をまとめて取ってきたんだ~。部長は長期休暇を認めないって言ってハンコを押してくれなかったんだけど、いいんだ、そんなこと。だってオレ、イヴに会いたかったんだから。ははは~」

(バカ・・・俊介のバカ・・・)

私は溢れ出した涙が止まらなかった。

俊介とは嫌いで別れたわけじゃない。
デートの約束してても残業でキャンセルが多かったし、小旅行を企画してても「土日も出社だ」と言って断られた。それも何度も。
会う機会が極端に減っていたから、ゆっくりと話もできなかった。
電話やメールもほとんどくれなかった。
こちらから掛けてもすぐに切られてしまった。メールを送ってもたまに返事が返ってくるだけだった。
私は疲れ果てていた。
そんな状態でたとえ結婚したとしても、うまく行かないだろう。
好きだった。愛していた。離したくなかった。
でももう終わりだと思った。
私から別れの言葉を選んだ。
そんな傷心を癒すためにイタリアに旅に出た。
大してイタリア語がうまいわけじゃなかったけど、とにかく日本から離れたかった。

部屋のチャイムが鳴った。
俊介だ。
信じられないけど、俊介がやって来たのだ。
困った。今日は外出の予定もしていなかったらろくすっぽ化粧もしていない。

「ちょっと待って」

私は慌てて鏡の前に立ち、急いで紅をひいた。
そして自分の顔をじっと見つめた。

(もう・・・、ファンデーションすらつけてないのに。参ったなあ)

 

 
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