青海瑠璃 後編(2)

【後編(2)】

携帯の画面の文字に、陽菜は微笑み。

「可哀相なナツ…。海斗さんがクリスマス、過ごしてくれなかったのね」

わかる。魚月は、海斗とクリスマスを過ごしたくて即答しなかった。
そして何気ないいつものメール。海斗に予定が入ったのに違いない。だがそれでいい。

「大丈夫よナツ。もう海斗さんのことで、悩まずに済むようになるわ」

足元で、バイブからの快感に悶える瑠璃の頭を踏み付けながら、陽菜は微笑む。

「…だって、私のものになるんだもの」

少女は悪魔に魂を、親友を売った。
そして彼女は、魔女になった。

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あれから数日。
海斗とのことでやむと思っていたオナニー癖は、翌日には復活していた。
海斗相手なのか、ただのやけだったのか、寧ろ前よりも貪欲に体が快楽を求めるようになった。
感情は満たされず、ただボォッとすることも多くなった。

けれどそれを、魚月は表にはださなかった。気付かれたくなかった。こんな浅ましい自分を。
そして今日は、クリスマスイヴの朝。

「いってきまーす!」

鞄一つに、ラフな少年のような姿の魚月が自転車に飛び乗る。
いつも通りの笑顔に、心配するような部分は微塵もない。ゆうべは荷物の準備もしたが、パーティーの準備も手伝った。

これでいい。
そう自分に言い聞かせる。始めから叶わない恋だった。従兄弟の、それも十歳近く歳の離れた人を好きになったってダメなのだ。

諦めなくてはいけない。ふっ切らなくては。

きっと陽菜とのイヴは楽しいものになる。初めて親友と思えるような子に出会ったのだから。
自転車で坂道を走りながら、魚月は深呼吸して気分を一新させた。

魚月は気付いていなかったのだ。
これから自分の身に起こることも、誰よりも信じていた親友が、自分をどのように思っていたのかも…。

変わらない日常。それが当たり前だと思っていた。

だがその日常が壊れる時、少女がちっぽけだと思っていた世界が、音を立てて崩れてしまうということを、彼女は気付いていなかったのである。

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「メリークリスマス!」

その夜。魚月は陽菜と、陽菜の姉の瑠璃といた。
瑠璃と陽菜が作った料理を食べながら、運ばれて来たケーキにはしゃぐ。甘めのシャンメリーを飲みながら、最近のドラマの話や何気ない日常会話を進める。
クラッカーを鳴らし、三人で飾り付けたツリーのライトを点す。

楽しいクリスマス。
サンタクロースはもう信じていないけど、明日の朝プレゼントを開けあおうと、未開封のままだ。
瑠璃と陽菜がいつもより少し口数が多い気がするのは、楽しいからだろう。

そう。楽しい夜。
けれどこれが、最後の夜だった。

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「んっ…」

いつの間にか眠ってしまったらしく、魚月は体を起こそうとする。
だが、横たわった体はどうも様子がおかしい。寒くはないがスースーする。まるで服を着ていないかのようだ。

「えっ…!?」

違う。
本当に着ていないのだ。

身じろいだ体が上手く動かず、よく見れば四肢がベッドの柱に縛りつけられているではないか。その紐以外は体には何もない。

「な…んで…?」

まさか誘拐?
いや、ここは陽菜の部屋だ。
ということは強盗か何かが入って…。

そういえば陽菜も瑠璃もいない。まさか捕まったのでは。

(どうしよ…誰か…海ちゃん助けて…!)

そう願った矢先、ドアの開く音がする。
誰か入ってきた。まさか犯人か…。

 
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この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。 
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