【第12話】
大男のオーマンがにやにや笑っている。
「ふふふ、いいだろう。俺はガキには興味がねえ。その代り、あんたを自由にさせてもらうぜ」
手下の男が不満そうに言った。
「先生、確かにこの女はすげえ美人だし、抱くには文句はねえけど、あのガキももう胸が膨らんでますぜ。両方、やっちまいましょうぜ」
「バカ野郎!ガキまで手を出したんじゃ寝覚めが悪いぜ。俺の言うとおりにしろ!」
オーマンの一言ですべては決まった。
チルはマリアンヌに言った。
「とにかくここから早く逃げなさい。さあ!」
「お姉ちゃん……お姉ちゃんを置いて私だけ逃げられないよぅ……」
マリアンヌはポロポロと涙を零した。
チルは先ほどよりも強い口調で言った。
「さあ、早く行きなさい!」
マリアンヌは泣きながら表へと飛び出し走り去った。
ドアに鍵が掛けられた。
脅えるチルに三匹の野獣が一斉に襲い掛かった。
気丈夫にも短刀を抜いて立ち向かおうとしたチルであったが、簡単に奪われてしまった。
そればかりかその短刀で衣服は見るも無残に引裂かれ、たちまち丸裸にされてしまった。
それでも床を這い回り逃れようと試みるチルに野獣は牙を剥き出しにした。
二人の男に押さえつけられ、正面からオーマンに果かなく蹂躙されてしまった。
オーマンは思う存分蹂躙し終えた後、チルに質した。
「あんた、どこかのお姫様じゃねえのか?え~?俺には分かるぜ。街の女とは全然違うからな」
チルは彼らの言葉には一切、耳を貸さなかった。
手下どもはオーマンの言葉を聞いて余計にいきり立った。
いつ果てるとも知れない惨劇は延々と続くかに思われた。
だがドアを蹴破る轟音とともに彼らのどす黒い欲望は終焉を迎えた。
(ドカーン!メリメリ~!)
突如、ドアが突き破られひとりの男が飛び込んで来た。シャロックである。
「ううっ……遅かったか……チル姫、許してくれぇ……」
チルは慌てて床に倒れた身体を起こし、とっさにぼろぎれとなった衣服の破片で胸を覆った。
シャロックの表情が見る見るうちに鬼の形相に変わっていった。
「くっそう!貴様ら、絶対に許さない……」
シャロックは剣を抜き、うろたえる手下の1人の腹を貫いた。
もう1人の手下が慌てて、小刀で切りかかったが、腕の差は歴然としていた。
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