【第11話】
チルがシャロックの家に泊まり始めてから、6日目の夕方のことだった。
マリアンヌとともに夕飯の支度に精を出していた。
今まで調理人の作った物を食べることが当たり前であり、城内の厨房にも入ったことの無かったチル。
マリアンヌと作る料理をおおいに楽しんでいた。
その時、玄関先で何者かがズカズカと入ってくる靴音が聞こえて来た。
どうもシャロックではなさそうだ。
「おい!この前の礼に来たぞ~!シャロックはいるか!今日は腕利きのオーマン様を連れて来たぞ!」
「キャ~!!」
マリアンヌは叫び声をあげた。
チルは気丈に彼らに言った。
「シャロックは留守よ。何よ、あなたたち、ここはあなたたちの来る所じゃないわ。帰ってよ!」
「ほっほう、この前の娘だな?あれれ?もうシャロックの嫁さん気取りか!?はっはっは~!シャロックって野郎は手が早いぜ、グァッハッハッハ~!」
これを聞いたマリアンヌが血相を変えて、悪漢のひとりに飛びかかった。
「お兄ちゃんの悪口を言うと許さないわ!」
(ドテーン!)
マリアンヌは悪漢にいとも簡単に突き飛ばされ、床にうずくまった。
「ああっ!マリアンヌちゃん!大丈夫?この子に手を出さないで!」
「あんたは相変わらず気が強そうだね~。うっひょっひょ~。今日はシャロックがいねえから、仇は討てねえけど、代わりにあんたら二人をやっちまおうか?なあ、先生?」
頭の禿げ上がった大男のオーマンが笑って答えた。
「う~ん、シャロックがいないのか。それは残念だな。仕方がない。久しく女を抱いてないし、この娘達は美味そうだ。おいっ!てめえら、この娘達を脱がせろ!」
「へへ~!そうこなくっちゃ~!さあ、お嬢ちゃんたち、おじさんが可愛がってあげるよ~、大人しくしな」
危険を察知したチルはマリアンヌに大声で叫んだ。
「マリアンヌちゃん!早く逃げなさい!」
チルは今にも泣き出しそうなマリアンヌの手を掴み、玄関先へ逃げようとした。
ところが一番後ろにいた男が出口を塞いでしまったのであった。
逃げられないと観念したチルは、必死の形相で彼らに哀願した。
「ねえ、あなたたち、私を好きにしていいわ。でもあの子には手を出さないで、お願いだから。あの子はまだ十三才なの、子供なの。ねえ、私の願いを聞いて」
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