【第4話】
「おい、姉ちゃん。きれいなベベ着て、こんな所でリンゴをかじって。どうしたんだい?家から追い出されたのか?オイラに付合えよ。いっぱい美味いものをご馳走してやるぜ」
急に人相の悪い男が二人、チルの前に現われた。
世間知らずのチルとはいっても、彼らの人相を見れば、まともな男たちではないことが一目で分かった。
チルは冷たく言い放った。
「いらぬ。私はこのリンゴが気にいっておる」
彼らを無視してリンゴを食べ続けた。
その時、一人の男がチルの食べかけのリンゴを手で払い除けた。
リンゴは石畳に叩き付けられ、グシャリと潰れてしまった。
「何をする!この、無礼もの!」
「ふひょ~!無礼者だってさぁ?おい、聞いたか?俺たちが無礼者だって~。ははあ、こりゃ、可笑しいや~」
「ふん、何を気取ってやがるんだ!どこの高貴なお嬢さんか知らねえが、この街では通用しねえぜ~!おい、相棒、この可愛い娘にちょっと思い知らせてやろうじゃないか~」
「そうだな~。そりゃあ、面白いぜ!そのきれいなオベベをひん剥いてやるぜ!」
「キャア~!何をする~~~!」
二人の男たちはチルを押え込み、スカートの裾を捲り上げた。
真っ白なペチコートがひらりと彼らの目に飛び込む。
「おい、ペチコートの奥を見たか!?ドロワースを穿いていやがるぜ!この娘、間違いなく高貴なお方の娘だぜ。こんな幸運滅多にないや。絶対に抱かなきゃ損だぜ~!おい、早く脱がせてしまえ!」
一人の男はチルのスカートとペチコートを捲り上げ、もう一人の男はチルのドロワースをひっぱりに掛かった。
だが、コルセットを着用し、ドロワースも紐で結わえてあったから簡単には脱がせられない。
彼らがもたついている間に、真後ろから一喝する声が聞こえた。
「おい、貴様ら、か弱いご婦人に何をしているのだ」
彼らは振り返った。
そこに一人の黒服を着た精悍な人相の男が立っていた。
グレーの髪が風になびいている。
「何者だ?てめえは。じゃまをするな!」
悪漢の一人は言うが早いか小刀を振りかざし、黒服の男めがけて襲い掛かった。
次の瞬間、黒服の男は悪漢のみぞおちを一突きした。
「うっ!」
男はそのまま地面に倒れこんだ。苦しくて声が出ないようである。
もう一人の男は敵わないと見たのか、相棒を肩にかかえて一目散で逃げていった。
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