第21話
剃刀の刃にあなたの息遣いを……
「ひぁん、冷たいよ」
美桜が背中を捩らせた。
「いいんだな? 本当に剃っちまっていいんだよな?」
その美桜の斜め前にしゃがんだ翔吾が、取り憑かれたように念押しをする。
使用したばかりのシェービングクリームのボトルを、つい乱暴な手付きで床に置いた。
『わたしね、その子とエッチなことをしてたの。その子って、もちろん女の子よ。わたしより年下な感じがして、肌の色がとっても白くて、フランス人形のように可愛い顔をしてたの。それで、その子の見ている前で、わたしは裸になってオナニーをしたわ。気持ちよくイッちゃうまで指を使って、ハシタナイ声で叫んでたの。
えっとね、他にもあるわ。その女の子の指でも、わたしはスケベな声をあげて。そう、アソコを……ううん、美桜のオ、オマ〇コを、その子に弄ってもらったの。恥ずかしい液をいっぱいオマ〇コから溢れさせて、美桜はまたイッちゃったの。
他にも……それだけでないの。ベッドの中で美桜はその子とキスをしたの。お互いに裸のまま身体の向きを逆にさせて、美桜はその子のオマ〇コにもキスをしたの。そうしたらその子も、美桜のオマ〇コをいっぱいキスしてくれて。美桜もその子も、とってもいやらしく感じちゃった。そして最後に、その子が「美桜、仕上げよ」って。
翔くんは、松葉崩しって言葉を知ってる? あ、知らないんだね。だったら美桜と一緒だね。実は松葉崩しって、とってもエッチな恰好をするの。美桜とその子が向き合って、お股を開いて、それで足と足とを絡ませながら、オマ〇コとオマ〇コをひっつけ合うの。
お互いに腰を押し合って、大切な処でおしくらまんじゅうするみたいにさせて。とっても恥ずかしいけど、とっても気持ちいいの。美桜ね、ものすごくエッチな声で鳴かされちゃった。
相手が女の子なのに、もう初体験させられた気になって、両目から涙を零したりして。でもね、オマ〇コはヌルヌルになってるの。美桜とその子が漏らした愛液で押し合いながら、オマ〇コどうしが滑るくらいに。もちろん美桜はイッちゃった。その子と一緒になって、ハシタナイ快感をしちゃったの』
喉が枯れるほど声を絞り出した美桜の脳裏にも。
じっと耳を傾けて、愛する少女の股間に両目を吸いつかせていた翔吾にも。
その赤裸々で、拙い告白は、忘れようもなく浸透していた。
長々としたセリフなのに、途切れることなく二人の鼓膜にリピートされている。
「翔くん、美桜のオマ〇コをお願い。美桜は後悔なんてしていないから」
うつむきかけた顔を、美桜は上向けた。
ほっぺたの筋肉を緩め、無理強いさせたえくぼを浮かべた。
「き、きれいにしてやるからな。美桜のオマ〇コを、赤ん坊みたいにツルツルにしてやるからな」
「やだぁ、そんな言い方ってはずかしいよ……んんっ……」
そして、上気した翔吾の顔に凛々しい引き締まりが生まれる。
せっつくように声を漏らすと、恥じらってみせる美桜の股間へとカミソリを走らせた。
ジョリ、ジョリ、ジョリ……
「絶対に動くんじゃないぞ」
「うん、絶対に動かないから……くぅっ、あぁぁっ……」
極薄な刃がデリケートな肌を撫でる。
脂肪に包まれぷっくりと膨らんだ恥丘から、生え繁らせたヘアーが根こそぎ削られていく。
(わたしのヘアーを、翔くんが剃ってくれている。こんなに真剣な目をした翔くんって初めて)
どうしようもない羞恥に見舞われながら、けれども美桜は嬉しかった。
T字のカミソリが縦にゆっくりと滑るたびに、愛する人の瞳もつられるように上から下へと。
時折、止めていた息を吐き出すように「はあっ」と、両肩を大きく揺らせて、もう一度気合を入れ直すと、カミソリを握り直して。
「美桜、ここも剃るのか?」
「ここって、どこ?」
「ここって言ったら……」
「もう、わかっているわよ。クリトリスとオマ〇コの割れ目の処でしょ。うふふっ」
しばらくして、翔吾が曖昧に訊いた。
美桜も曖昧に訊き返していた。
翔吾が首の根元まで真っ赤にさせて言葉を濁して、美桜が代わりに答えていた。
かすれた喉を鳴らして、小悪魔な笑いも混ぜて。
「美桜のオマ〇コを、赤ん坊みたいにツルツルにしてくれるんでしょ。だったらこっちも……」
貼り付かせていたクリームの泡が、ゆっくりと垂れ落ちている。
それを美桜は這わせた指の先ですくった。
ちょっぴり覗いた紅い亀裂にもう一度塗り付けては、指の腹で丹念にマッサージしていく。
「ふぅ、はあぁ……指でクチュクチュすると、美桜のオマ〇コ、気持ちよくなって……んくふぅ、ほら、滲んできた。エッチなお汁がこんなに……」
自分の身体だから知っている。
美桜は感じるポイントを的確になぞっては刺激し、恥肉を潤ませるほど愛液を溢れさせていた。
そして挿し入れた指先にトロリと付着させると、産毛のように生えたヘアーの根元に擦り込んでいく。
「はあ、はぁ……」
「んんっ、もう……翔くんったら鼻息が荒いよ。はあぁ、こ、興奮するのはいいけど……手元はぁ、狂わさないでね」
「仕方ないだろ。こんなのを見せつけられたら。でも、任せとけって」
翔吾は胸を反らせた。
削られた陰毛の名残が付着した刃をキラリと光らせた。
「し、慎重によ。そっとよ」
まるで人替わりしたように性に積極的な美桜だったが、いざその時になると顔を強張らせている。
それでも翔吾を信じて、まぶたを閉じさせたりはしない。
ジョリ、ジョリ、ジョリ……
「あ、あぁ……こすられてる、んふ……美桜の割れ目にぃ、はふんっ」
「感じたって、動いたりするなよ……ふぅ、はぁっ」
大陰唇の縁を冷たい刃が通過する。
それをガードするつもりか、それとも?
翔吾の指が濡れきった亀裂の中へと挿し込まれる。
肉壁を内側から押し伸ばし、剃り残された髭のようなヘアーを一本、また一本と削り取っていく。
「ひあっ、くぅっ!」
そんな中、美桜の喘ぎがひと際大きくなった。
翔吾の指が、仕上げとばかりにクリトリスの包皮を引き剥いたのだ。
艶やかなピンク色をした肉真珠に指を乗せ、その周囲にも硬質な刃を走らせる。
「お、終わった……ツルツルマンコの完成だ」
そして翔吾が、ぽとりとカミソリを落とした。
万感の想いを乗せて声を漏らすと、密かに怒張させた己の急所へ腕を……
「待ってよ、翔くん。ここでオナニーなんて、ナシだからね、オ、オチ〇チンを気持ちよくしたかったら、美桜のオマ〇コの中で。ツルツルのオマ〇コ、きっと快感だからね」
美桜が慌てて、それを止めた。
ついでに、にぃっと笑うと剃られたばかりの花弁をスルスルと撫で上げた。