夢少女 第2話

ume-ti

【第2話】


見知らぬ占星術師から『真実石』と言う石ころを受け取ったものの、「理想の女性が現れる」と言う占星術師の託宣はにわかには信じられなかった。

(こんな石ころを持ってるだけで彼女ができるなんて……そんなうまい話があるはずないよな……)

吾郎は一瞬石ころを捨てようと思った。
ところが……

(あ、でも、あの人オレを占ってくれてせっかくくれたんだし、しばらくは持っておこうかな)

捨てるのを思いとどまった。
吾郎はてのひらの小さな石ころをもう一度見つめた。

(口下手なオレだから街でナンパしたって失敗するのは目に見えているし、友達に紹介してもらうのも限界があるし……占い師が言うようにオレって本当に彼女ができるんだろうか?よく分からない石ころをもらって、彼女ができるまでじっと待つと言ってもいつまで待てばいいのやら……。ふうむ、やっぱり手っ取り早く出会いサイトで探そうかな。それはそうと、今夜は何となく晩飯を作るのが面倒だし、弁当を買って帰って野球でも見るとするか)

普段は自炊をする吾郎だが、たまには気分転換に弁当を買うことがある。
吾郎はアーケードに戻り弁当屋へと向かった。
商店街にある弁当屋は結構いい米を使ってる。

(新潟のコシヒカリを使ってるって言ってたなあ。え~と、今日はシャケ弁当にしようかな?)

近頃他にも名の通った銘柄米が出回っているが、新潟を故郷に持つ吾郎にとっては米はやっぱりコシヒカリなのだ。
などと弁当の種類を思案していると、突然前方で自転車の転倒する音がした。

「きゃっ!」
「気をつけろよ!ったくもう~!」

遊び人風の男が若い女性が運転する自転車にぶつかったようで、自転車の方が横倒しになり若い女性が地面に倒れていた。
男は何事もなかったかのように素知らぬ顔で煙草をふかしながらその場を立ち去っていった。
女性は脚をくじいたのか、なかなか立ち上がれそうにない。
通行人は女性を気の毒そうに見てはいるが、誰も手を貸そうとしない。

見るに見兼ねた吾郎は女性のそばに歩み寄って手を差し伸べた。

「だいじょうぶですか?」
「ありがとうございます……ちょっと脚が痛いけど大丈夫だと思います」

女性は吾郎の差し出した手を握り、ゆっくりと立ち上がった。
あまりに突然のことで吾郎は女性の顔をゆっくりと見る余裕などなかったが、立ち上がった女性の顔がやっと目に入った。

(うぉ~、こりゃあすげえ美人じゃん!)

「怪我は無い?」
「ありがとうございます。たぶん大丈夫だと思います」
「それにしてもさっきの男は酷いね」
「いいえ、余所見していた私がいけなかったんです」

女性が歩き出そうとした時、突然、痛みが走ったのか思わずうずくまってしまった。

「ううっ……」

短いプリーツスカートから覗く膝の辺りから赤い血が滲んでいるのが見えた。

「うわぁ、血が出てるじゃないか。お医者さんに行かないと」
「ええ、でも大丈夫です。骨は折れていないと思うし」
「でも早めに消毒しておかなきゃ。オレのマンションすぐそこだし、応急措置してあげるからおいでよ」
「え?いいんですか。ありがとうございます。それじゃお言葉に甘えさせてもらいます」
「うん、急ごう」

吾郎は自転車を押してやり、女性をともにマンションへと戻った。

部屋は七階建ての五階だった。
吾郎は部屋に戻ると、すぐに救急箱を探した。
滅多に使わないからどこに直したか憶えていない。

「部屋が散らかっててごめんね。ソファに座って待ってて。すぐに救急箱が見つかると思うので」
「本当にすみません。ご迷惑を掛けてしまって」

女性はペコリとお辞儀をしてソファに腰を掛けた。

「あった、あった、これだ。さあ、早く手当てをしなくちゃ」

救急箱を取り出した吾郎がソファに座っている女性の方を振り向いたとき、女性の太腿が目に入り一瞬ドキッとした。
スカートが短いため、美しい太腿がかなり上まで露出しているのだ。
しかもパンストは着用しておらず、生脚なのでやけに眩しい。

(うわぁ、こりゃ目に毒だあ)

心拍数が上がっているのが自分でも分かる。
女性は吾郎の心を察知したのか、照れ臭そうに脚をピタリと揃えてしまった。
吾郎の視線を敏感に感じ取ったのだろうか。勘のいい女性のようだ。

吾郎は滅菌ガーゼに消毒薬を浸しそっと傷口につけてやった。
女性は少し沁みたのか小さく「うっ」と呻いた。
至近距離にいるせいか女性特有の甘い香りが吾郎の鼻孔をくすぐる。
おそらくシャンプーの残り香なのだろうが、吾郎はひとときの心地よさに包まれた。

「まだ少し血が滲んでくるね。しばらくガーゼを当てておいた方がいいよ。ところで君は何て名前?オレは吾郎です」
「あ……お世話になっているのに、私、先に名乗らなくて……ごめんなさいね。私、惠って言います」
「惠さんって言うんだ。いい名前だね」
「ありがとう」

惠はにこりと微笑んだ。

(笑顔も可愛いなあ)

吾郎は当てていたガーゼを新しいものに取り換えた。
久しぶりに女性と部屋で過ごすひととき。
まるで恋人と過ごす時間が蘇ったかのような、吾郎はそんな錯覚に陥った。

(それにしても、美しい人だなあ。脚もめちゃきれいだし。何かゾクゾクしてくる……)

治療をする手は膝頭の辺りを触れていたが、吾郎の気持ちはスカートのずっと奥の方へと駆り立てられていた。
惠が少し脚の向きを変えるだけで、パンティが見えるかも知れない、そんな不埒な期待感。
吾郎の心にふつふつとよこしまな劣情が沸き起こっていた。

 

 

ume02

 
 
 

shu01

shu02

shu03

 
toukou02

toukou
 
 
 
 
この作品は、愛と官能の美学 Shyrock様から投稿していただきました。
尚、著作権は、愛と官能の美学 Shyrock様に属しております。
無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。
 
ラヴラヴから凌辱ものまで多ジャンル官能小説取り揃え
体験談・投稿体験談・夜学問・官能詩
エロエッセイ・その他カテゴリー多数
grren
 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA