【前編(2)】
「ん…」
怪の唇が、妖子の白く柔らかい肌をなぞる。首筋を舌先が撫でると、妖子は甘く息を漏らす。
「妖子様…」
小振りな胸に怪の指が触れる。
「…そこ、舐めたいっすか?」
「ッ……あの…」
眼鏡を外した顔立ちが少し幼く見せている。妖子の方がどう見ても年下なのに。
「というか…もしかして責められたい?」
「そ、そんな滅相もない…私ごとき獣が、妖子様の美しい体に触れることすらおこがましいのです…触れて欲しいなどと…」
真っ赤になり首を横にする怪は、まだきちんとしたままの服装を整え、再び前戯に入ろうとした。が…
「怪。前を開けて。邪魔なら脱いでも構わないから」
「妖子様ッ…しかし…」
「逆らったらお預けにしますよ?」
お預け。と言われ、今更やめられても困ると、怪はゆっくりと上着を脱ぐ。
いい具合に鍛えられた体は、細すぎず美しい。
だがその胸の突起には、ゴールドの細いリング系のピアスが一つずつ着いていて、とても官能的だった。
「そのまま。四つん這いのままいなさい。今から怪のいやらしい体を…可愛がってあげるんだから」
そう、羞恥を煽るような言葉を並べただけで、怪の体がビクッと震える。
体をそのままにして、そのピアスを軽く捻る。
「ぅあっ…あ…」
「気持ち良い? 嫌ならやめますけど」
言いながらも、妖子の手は止まらない。もう片方の手は、脇腹の辺りを人差し指でくすぐりだしたのだ。
「ぁやっ…子…様ぁっ…」
「おや…乳首が尖って来ましたねぇ。これは何ででしょう…ね」
怪の体が小刻みに震える。
ピアスリングを弄られるだけで、甘い快感が押し寄せてくるから。
これだけでも感じられるような体にされてしまったから。
「ほら…どうして?」
ピアスリングの通った乳首に妖子の指が直接触れる。
「ひぁっ…あ…きも…ち…ィ…ッ」
普段取り澄ましたクールな表情からは想像出来ない程、身もだえる青年の姿に、妖子は満足そうに微笑する。
「怪はマゾだから…少し痛いくらいが調度いいかなぁ」
一旦指を離すと、妖子は髪をかきあげる。
「ベッドから降りなさい。本格的に虐めてあげますよ」
その言葉に、怪の体が震える。
恐怖にではない。これから与えられるだろう、甘い快感に、だ。
ベッドの下に降り、再び四つん這いになったその背に、妖子の細い脚が乗る。
「…妖子…様?」
「下も脱がなきゃ。怪は動物なんだから…服なんかいらないっしょ?
まさかこの程度で反応なんかしてないでしょうね?
もしそんな節操無しなら…お仕置きしますから」
ビクッと怪の体が震える。
合図するように、一旦妖子の脚が背中から降り、怪は立ち上がりタイトなパンツを脱ぎ出す。
下着姿になり、一瞬躊躇いながらもそれを脱ぐ。
膝ががくがくと震え、無意識に呼吸が荒くなった。
「ぁ…」
股間に潜んでいるはずのそれは、硬く勃起していた。
本来ならば本番に入れるような状態なのに、今の言葉からでは本番等望めない。
「怪。腕を後ろになさい。見えないでしょう?」
無意識に隠してしまう手を咎められ、羞恥で泣き出しそうな己に叱咤して腕を後ろに組む。
「おやおや…まだまともに触ってもいないのに…。何でしょうねホント。ねぇ怪…」
「…申し訳…ありませ…ッ」
こんな風に見られて、叱られて…どうしようもなく自分が惨めになるのに。
それがさらに快感になる。
「どんなお仕置きをしましょうか…。何なら一日媚薬仕込んで過ごします?
それとも…バイブの方がいいかな。怪は男なのに後ろを責められるの大好きですもんねぇ」
いやらしいと罵られているのと変わらない。
おとしめられ、淫乱な雌犬と変わらない存在なのだと言われ、それが余計に怪の精神を高揚させていた。
「さて…どうして欲しいですか?」
もっともっとと思うだけで、彼女に痛め付けて貰う方法を考えてしまう。
「私は…ぁ…ぉ、お願い…します…ッ。いやらしい…この体に…きつい罰を…ッ」
「だからどうして欲しいの?」
少女の冷笑に、股間が熱くなる。
見られている。そしてこれから、もっといたぶられる。
この狂いそうな程美しい瞳に曝されて、自分は壊される。
「…ぁ…アナルに…玩具を…入れて…この…いやらしい体を…妖子様の鞭で…なぶって…くださ…」
本当はもっと、そんな物じゃ足りないくらい痛め付けて欲しいけど。
言葉に尽くせない程体は昇りつめていて。
早く触れて貰わないと、壊れるんじゃないだろうかと考えてしまう。
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