ありさ できごころ  第1話

deki-mi

【第1話】


ありさは現在大学3年生。授業の帰りにドラッグストアに寄ることにした。

まもなく月に1度の憂鬱な訪問者がやって来るのだが、タンポンの予備を切らしていた。
やってくる前に準備しておかないと少し厄介なことになる。
いつも行くドラッグストアに寄ってみたがあいにく定休日だった。
近辺にドラッグストアはないが、少し足を伸ばすと中堅のスーパーがある。
一、二度行ったことがあるが、確か1階に食料品、2階に日用品があったように思う。
少し遠回りになるが比較的明るい国道沿いを行けば7、8分で着くはずだ。

まもなく目的のスーパーが見えて来た。

「あった、あった。あそこだわ」

2階へ上がるには奥にあるエスカレーターを利用すればよいのだが、ありさは入口近くの階段から上がることにした。
今日のありさは白のチューブトップにデニムのミニスカートという身なりであった。
すらりと伸びた脚に白いサンダルがよく似合っている。
スカートはかなり短めなので階段を登るとき後ろが気になった。
何気に視線を感じたので振り返ってみたが特に人影はなかった。

(気にするぐらいならミニスカートを穿くなって。あはははは)

ありさは2階の入口で買い物かごを手にし店内へと入っていった。
人影はまばらであった。

(さすがに夜ともなると客は少ないなあ)

生理用品コーナーは奥のようだ。
BGMが流れていないので店内が静かで、自身のサンダルの足音がやけにうるさく感じる。
キョロキョロと棚を見回しながら目的の商品を探す。

(あった。これだ)

ありさはいつも愛用のタンポンを発見した。

(あっ、いけない!今月はピンチだったんだ。洋服を買ってしまったし、遊びにも沢山使ったからあまりお金が無かったんだ)

ありさは財布を覗きこんだ。
財布の中にはわずかに千円札が2枚入っているだけだった。

(きゃっ、これは大変だ。バイトの給料日までまだ5日もあるし。でもタンポンはないと困るし、それにシャンプーとリンスももう切れそうだし。弱ったなあ……)

ありさは通路に立ち止りはたと考え込んだ。
次の瞬間、心の中で悪魔がありさにささやきかけた。

『ありさよ、そんなに高価なものじゃないんだし黙って拝借しておけば?1回くらいいいじゃないか。ふふふ……』

魔の誘惑はすべて自分に都合のよい利己的な理由から生まれるものだ。

すると今度は天使が現れありさにささやいた。

『ありさちゃん、例え安いものでも盗むと泥棒になるよ。万引きは絶対にしちゃダメ。5日間だけ我慢すればいいんだから』

心の中で天使と悪魔が激しく戦いを繰り広げている。

(えっ!?ええっ!?悪魔と天使が戦っている!どうしよう……困ったなあ……)

その結果、あろうことか悪魔の力が勝り天使を倒してしまったのだった。

ありさは周囲を見廻した。

(誰も見ていないわ。今回だけだし……)

ありさはタンポンを買物かごに入れないで、ショルダーバッグにそっとしまい込んだ。

(ふう……)

素知らぬ顔で生理用品コーナーから離れ、同じ列の端にあるケア用品のコーナーに向った。
ここでもシャンプーとリンスをそっとバッグに忍び込ませた。

(今回だけだから許して。次からちゃんと払うから……)

ありさは空の買物かごを無造作に戻し、下りのエスカレーターを利用しないで階段を足早に駆け降りた。
ちょうどその時だった。

「ああ、ちょっと」

後方から男性の声がした。
荒げるでなく実に落ちついた声であったが、その声にはどこか威圧感がった。
嫌な予感がありさの背中に突き刺さった。
ありさは聞こえないふりをして階段を下りた。
男性の声は先程よりも大きくなった。

「そこのお客さん、ちょっと待ってください」

(しまった……見られたかな……?)

不安が一気に増長し脈拍が速まっていく。
呼び止められて無視するのにも限界がある。
ここはあえて平静を装ってとぼけておくのが得策だろう。
しかし警備員はこの場所で問答をするつもりはないようだ。

「ちょっと詰所まできてくれますか」
「え?なぜですか……?」
「そんなこといちいち説明しなくても分かってるだろう?とにかく詰所まで来てもらおうか」

警備員は急に態度を豹変させ権高になった。

「……」

いまさら逃げるわけにも行かない。
ありさは万引きは初めてだし今からでもちゃんと金を払って謝れば許してもらえるだろうと安易に考えていた。
後になってそんな自分の浅はかさと考えの甘さを痛いほど思い知らされることになってしまうのだが、今はそんなことなど知るよしもなかった。

ありさは警備員に連行され詰所へと向かった。

 

 

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