女武者受難 大坂夏の陣

onnnamusha

【第十四話】


傷は長時間緊縛による手足の傷や打撲など数か所に及んだが、幸いにも軽いものであった。

佐助は薬を塗り終えると神妙な表情でありさに尋ねた。

「ありさ様、お怪我のあった箇所への塗布はほぼ終わりましたが、最後にあと一か所……」
「あと一か所とはいずこでしょうか?」
「身の程を弁えず申し訳ありませんが、ありさ様の大切な個所を拝見いたします」
「え?そんな……」

佐助はそう告げると突然ありさの太腿を拡げた。

「恥ずかしい……」
「ご免!」
「きゃっ!」

佐助は半ば強引にありさを押し倒し、股間に顔をうずめると「チューチュー」と音を立て陰門を吸い始めた。

「な、何をするのですか!?」

味方であるはずの佐助だが、ありさのあられもない姿を目にしたため気持ちが昂り突然取り乱したかと思い、ありさは狼狽するばかりであった。

(チューチューチュー、チューチューチュー)

「猿飛様、やめてください!そこは、そこは、先程男たちに辱めを受けた箇所、口をつけるのはおやめください!」

ありさは拒んだが、佐助は一向にやめる気配がなく延々と吸い続けた。
数分吸い続けた佐助はようやく陰門から口を離し、懐から取り出した懐紙に口内に溜まった液体を吐き出した。
ありさは怪訝な表情で佐助の行動を見つめている。

「ありさ様の胎内に放出された男たちの液体はほぼ吸い出しました。これでおそらく妊娠の心配はないと思います」
「そうだったのですか!ありがとうございます!猿飛様が血迷ってしまったのかとたとえ一時でも疑ったこと、どうかお許しください」
「いえいえ、私が事前にちゃんと説明しなかったのがいけなかったのです」
「火急のことゆえ仕方なかったと思います。適切なご判断に感謝します」
「ただし妊娠の惧れが完全に去ったわけではありません……」
「そうですか……」
「ありさ様、しかしご心配は無用です!万が一ありさ様が身籠られた場合、この佐助めがそのお子をわが子としてお育ていたします」
「猿飛様……あなたと言う人は……」

しばしの間沈黙が訪れたが、その沈黙を破るように佐助がありさに告げた。

「何はともあれ、取り急ぎ幸村様の所へ参りましょう」
「そうしましょう。ただ男たちの亡骸をこのまま放置しておくわけにもいかないでしょう。悪人とは言え埋葬だけでもしてやらないと」
「ありさ様はお優しい方ですね。のちほどもう一度訪れちゃんと葬っておきますのでどうかご安心ください」
「分かりました」
「では、参りましょう。幸村様も美しく成長されたありさ様のお姿をご覧になられてきっとお歓びのことでしょう」
「まあ、猿飛様ったら……」

ありさは佐助を道案内につけ一路真田幸村の元へと向かった。

◇◇◇

その頃、真田幸村は九度山の庵に隠棲して、じっと再起の時を待っていた。
九度山は高野山の入り口にあたる北谷にある。
北側に紀ノ川の流れを望み、高野山の東北をめぐって、紀ノ川へと注ぐ羽生川を見下ろす「丘」の中腹に、真田屋敷があった。
上田城にいた際の居館とは比べ物にならないが、大台所のまわりに、家臣、小者や侍女たちの部屋があり、その東側には広い板敷の間を隔て、四間の一郭が真田幸村夫妻の生活の場となっていた。

「父上様、母上様、おひさしゅうございます……大助も立派になりましたね」

ありさを出迎えたのは、父幸村、母りよ、弟大助で、何と十四年ぶりの再会であった。
ありさがまだ五歳だったこともあって、久々と言うよりまるで初めて見るような何やら不思議な気持であった。

「佐助から聞いたが途中大変な目に遭ったようじゃな。十分養生をいたすがよい。嫌なことは一日も早く忘れることじゃ」
「心の傷はすぐには癒えません。でも時が経てば必ず薄らいでいきますよ」
「ううう……父上様……母上様……」

ありさの頬に大粒の涙が伝った。
父母の優しい言葉に癒される気がした。

「ありさ、ところでこのたびの用件とは?」
「はい、父上様、実は木村重成様からお手紙を預かっております……」

ありさは豊臣方重鎮木村重成から預かった密書を幸村に差し出した。

「木村殿からじゃと?」

真剣な面持ちで密書を広げる幸村。
その表情には心なしか緊張が走っているようにも見える。
 
「これは……!豊臣秀頼様の直筆ではないか!?」

密書には次のようなことが書き記されていた。

『この度、我らは徳川氏を滅ぼさんがために兵を挙げることになった。ついては幸村殿にも力を貸して頂きたい。』

密書を読み終えた幸村の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。

「ついに、ついにご決断をなさいましたか……」

幸村は感極まり一人つぶやいた。

「秀頼様、ありがたき幸せに存じます。この幸村、このまま高野の山中に埋もれるかと思っておりましたが、武士として最高の死に場所を得たようでございます。秀吉公の恩義に報いるためにも、一命を投げ打って働く所存にございます」
「父上様……」
「ありさ、父は今から返書をしたためるゆえ、すまぬが明日大坂へ戻ってくれぬか。本来ならば久々にゆっくりと語らいたいところだが、火急の事情にてどうか許してくれ」
「何を水臭いことを仰せですか。私は真田幸村の娘です。お家のためならすぐにでも参りましょう」

幸村とありさの会話を横で聞いていた母りよが思わず泣き崩れてしまった。

「うううっ、何と不憫な娘よ……遥々大坂の地からやって十四年ぶりに再会できたと言うのに……」
「母上様、お泣きにならないでください……」

その夜は久しぶりに親子・姉弟が水入らずで語らい、名残の尽きぬまま翌朝ありさは大坂へと旅立った。

◇◇◇

慶長十九年(一六一四年)四月十八日、真田幸村は長男の大助とともに十四年間住み慣れた九度山を後にし大坂城へと向かった。
同年十一月から始まった大坂冬の陣において、幸村は大坂城の弱点とされる南方面の防御を強化するため、南側地点(現在の真田山周辺)に出丸を築き空堀をめぐらせ、戦術を尽くして徳川軍を大いに悩ませた。
簡単には落城しないと見た家康は和解工作に出た。
その時の条件に『大坂城の外堀を埋める』とあったが、家康は外堀だけでなく無断で内堀まで埋めてしまった。
いかに屈強な城であっても、これでは大坂城は牙を抜かれた虎のようなもの。
翌年の元和元年(一六一五年)に大坂夏の陣に突入したが、大坂方のは冬とは違い完全に劣勢に立たされ、豊臣方の気力も限界に達していた。

「ううむ。もはやこれまで」

幸村率いる三千の兵は決死の覚悟で徳川の軍勢に討ちかかった。
家康の孫である松平忠直隊(一万三千人)を死に物狂いで撃破すると、家康の本陣へと突入。
さすがの家康も浮き足立つばかリで、真田隊の二度に渡る本陣攻撃に、家康をその距離三里(12キロ)も後退させてしまった。
真田隊は三度目の本陣突入を決行したがついに力尽き、幸村も無名兵士の槍に倒れ壮烈な最後を遂げた。
さらには、幸村の遺体のそばに一人の勇猛な忍者と秀麗な女武者が寄り添うように横たわっていたと言う。

【女武者受難 完】

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