ノーブラ・ノーパンな人妻が夜の街角で

 

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第25話
屋外露出 初級 その1

4月11日 金曜日 午後11時  岡本典子

午後11時、歩道を行き交う人もほとんどいない。
アスファルトをうるさく鳴らして走る車の音もほとんど聞こえない。

私はオフィスビルが建ち並ぶ大通りの交差点で、ひとり佇んでいた。
脇をギュッと締めて両足をギュッと閉じたまま、じっと、まるで直立不動状態の門番みたいに立っていた。
そして、時々黒眼だけ左右に走らせて誰かを探した。
瞳を潤ませて許しを請うように、どこに潜んでいるか分からない誰かに合図しようとした。

横断歩道に設置された歩行者用信号機が青に変わる。

ほら、行くわよ!
って、渡りたいのに私は渡らない。
違う。渡らせてなんかもらえないの。

そうよ、私はこの場所で1時間も前から立たされているから。
河添のものすごくつまらない思い付きで……

「一体、いつまでやらせるつもりなのよ! こんなところを、誰か知っている人にでも見られたりしたら……?!」

私は、ここへ来てから四度目の全く同じセリフを呟いていた。
そして、横断歩道の信号が赤になるのを恨めしそうに眺めた。

「こんな格好じゃ寒いし、風邪ひいちゃう」

まだまだ冷たい春の風にブルッて身体を震わせると、視線を下へと這わせた。
見ない方が気が楽なのに、典子の視線が降りていく。
つい気になる自分の姿を見ようと視線を落としてしまう。

なによ、典子! そんな恥ずかしい服装で!
……はしたない。

きっと、昨日の私が見たらこう言って顔を真っ赤にして怒ると思う。
だって実際にそうだから。

私は、衣替えなんてまだまだ遠い先なのに半袖シャツを着ているの。
それも、典子のサイズよりひと回りもふた回りも小さいピッチピッチの薄手の生地で、おまけに胸の下までボタンを外して。

『これじゃ典子のブラジャーが見えちゃう?!』って……?

大丈夫よ。
私はブラを着けていないから。そう、ノーブラだから……

典子の揺れる大きなおっぱいも谷間だけじゃない。
丸い輪郭の半分くらいが、はだけた襟元から飛び出しちゃっている。
これがお昼間だったら、赤い乳首や乳輪まで透けて丸見えかも。

そして、下半身も大胆。
私が履いているのは、太腿が半分くらい露出してるマイクロミニっていうスカートなの。
それも、風の悪戯にめっぽう弱いフレアのスカート。
両手でしっかりと押えていないと、マリリン・モンローみたいに中のショーツが丸見え?!

ふふっ、だけど大丈夫なの。
だって私、ブラだけじゃない。ショーツも穿いていないから。
おまけに両肘を折り曲げてウエストに押し当てているから、悪戯好きの春風だって好きにし放題。

ほら、さっきだって後ろから短い裾がひらって……
あっ! 今度は前からめくられちゃった!

典子の恥ずかしいアソコやお尻を、冷たい風に撫でられている。

ここへ来てから、私の前を数人の知らない人が通り過ぎて行った。

まだまだお仕事中なのか、難しい表情で携帯しながら。
帰宅途中なのか、スーツ姿で自転車を漕ぎながら。
マラソン大会を目指しているのか、ジョギングしながら。

みんなそれぞれ、自分のことに集中すればいいのにね。
世の中そんなに暇じゃないと思うのにね。

私の姿を目にした途端、動きが変わっちゃった。
私の前に来たときだけ、スローモーションになっちゃった。

携帯から相手が問い掛けているのに、急に話すの止めて。
青信号なのに、安全確認するみたいに急減速して。
走り慣れてそうなのに、ひざに手を当てて息を整える振りをして。

無言のまま、視線だけが私のつま先から頭のてっぺんまでを何度も往復してる。
いやらしい目で、いやらしい視線で……
典子の半分零れ出しているおっぱいに視線を這わされた。
悪戯な風にスカートが煽られるのを心待ちにするように、視線を絡みつかされた。

私は、この人達の視線を逸らすように身体だけ横断歩道に向けながら、首の筋が違えるくらい横を向いていた。
ひざがガクガク震えるのをなんとかごまかして。
しゃがみ込みたくなる衝動を、くちびるを噛み締めて必死で堪えて。

それなのに、いくら典子のファッションが過激だからってひどすぎる。
私は視線を逸らせているのに、さり気ない振りして合わせてくるんだから。
通り過ぎたのなら、そのままサヨナラしたいのに、何度も何度も名残惜しそうに振り向くんだから。

でも、男の人にそれを望んだって無理だよね。

だって、こんな露出狂みたいな服装の典子が悪いんだから。
こんなエッチな姿を見たときの男の人の気持ち、典子も理解できるから。

そうよ。私もできることなら逃げ出したい。
こんな恥ずかしいファッションなんか、イヤなの大嫌い。

だから神様に無茶なお願いをしていた。

『どうか、典子を透明人間にしてください』と……

 

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