少女の償いは肢体を犠牲に

 

shy468-02

46860-12

banner-S

kannou468-4

9a1eb14d

468x060

 


 

shyou2ti

 

 

第11話
有里……ごめんね……

9月8日 月曜日 午後1時30分  吉竹舞衣

「……有里、ごめん」

私は帰りの電車内でそう呟くと、顔をうなだれた。
隣に座っている初老の男性が、怪訝そうな表情をしている。

当然よね。
この電車に乗ってから、この仕草を何度も繰り返しているんだから。

その後、思いもよらない形で有里と別れることになった私は、理佐に連れられるようにして駅近くのカフェへと向かった。
たぶんだけど、別れ際に有里が話した言葉を理佐は信じたんだと思う。

ほどよく空調の効いた店内で、理佐と私はドリンクと焼き立てが自慢のパンを注文して、1時間ほど他愛もない会話をした。
……と言っても、会話の大部分は理佐が引き受けてくれて、私はそれに合わせて相槌を打つ程度だった。
さっきまでお腹のムシが鳴いていたのに、有里の姿が消えた途端、食欲さえどこかへ飛んでいっちゃった。
そして今思えば、理佐との会話の内容さえ覚えていない。
彼女には気を使わせて悪いことしたな。

私はうなだれながら溜息を吐いた。
また隣の男性が怪訝そうな顔をしていると思う。

パタンッ……!

それは突然だった。
荒々しく車両連結部の扉が開かれ、4人の男性が肩をいからせながら私のいる車両へ入ってきた。
私を含めて何人かの乗客が、それを不審そうに見守っている。
どう見ても、普通じゃない人達。
茶髪、金髪、刺青、ピアス……

それが目に入ったのか、不審そうに見ていた何人かの乗客は慌てて目を逸らした。
当然、私も……

彼らは空いている座席を見付けると、両足を大きく拡げて座った。
普通に譲り合えば、8人くらい座れそうなところを4人で占有している。
その上、ここが公共の場だという自覚さえないのか、大声で話し始めた。

「昨日のあの女……俺様が……挿れてやったらよ……」

耳障りでふしだらな会話に、私は眉をひそめた。
周囲の何人かの人達が同じ表情をしている。
……でも、私を含めて誰も注意しようとはしない。
そんな勇気、誰も持ち合わせていないから。

もしこの場面に有里がいたとしたら、どうしているだろう?
有里の姿を思い浮かべてみる。
彼女ならきっと、たったひとりでもあの男達に立ち向かっただろうな。
有里は舞衣と違って、ちょっと勝気だけど正義感が人一倍強い女の子だから。

男達は引き続き、卑猥な単語を交えながら会話を続けた。
そして時々周囲に目を走らせる。

私は目立たないように顔を伏せながら、ある出来ごとを思い返していた。
そう、半月ほど前の電車内での一件。

あの時、私の乗っていた車両に、有里と千里お姉さんが飛び込むように移動してきて、その後を追いかけて来た3人の男達。
はっきりと思い出した。
目の前で我が物顔で座っている4人のうちの3人が、その男達だ!

だとしたら、あとの1人は……?

うーん……? 誰? たしか?

そうよ、有里が助けようとしたサラリーマン風の人?
あの時は黒髪で、今は茶髪で鼻にピアスを付けているけど……うん、間違いない。
でも、どうしてなの?
あの人は、最初から男達の仲間だったの?
分からないよ。

ただひとつだけ言えることは、有里と千里さんは何かの罠に嵌められようとしていた。
それも、用意周到に……
だって、彼女達の性格を知っていなければ、こんなこと出来ないから。
一体、どうなっているのよ。

結局、答えを見付けることが出来ないまま電車を降りていた。
舞衣は、これでいいのかな?

駅前の繁華街を過ぎても歩き続けた。
そして、自宅への近道になる公園の中ほどまで来て立ち止まった。
胸の中が重たい鉛のような物で押しつぶされそうになる。
吐き気がして、呼吸も荒くて、どうしようもない虚しい怒りが高まってきて。

私は携帯を開いていた。
電話帳画面から副島の名前を選択して、決定ボタンを押そうとした。
……でも、指が止まった。

すぐに、もうひとりの自分が話しかけてくる。

ちょっと待ちなさいよ舞衣。
その電話、うまくいけば有里を助けることが出来るかもしれないけど、舞衣と副島の関係も知られてもいいの?
そんなことになったら、傷つくのは有里の方だよ。
それに、今からでは間に合わないと思うよ。

私は腕時計を覗いた。
時刻は午後3時ちょうど。

「有里……ごめんなさい……舞衣は……」

私は声を殺して泣いていた。
人目もはばからずに、涙をぽろぽろと零して。
そして、泣きながら何度も謝った。
だって今の舞衣には、これ以外なにも出来そうにないから。


9月8日 月曜日 午後7時30分  吉竹舞衣

その夜、私は家族3人で食事をしていた。
私と向かい合うように、お母さんとあの人が座っている。
テーブルの真ん中には、出前で頼んだのか豪華なお寿司が……
他にも、高級レストランのメニューにありそうな肉料理、果物を盛り付けたデザート……

そういえば、家族3人で食事するのって、何か月ぶりだろう?
それに今日の豪華な料理はどうして?

私は、チラチラと二人の顔を窺いながら食事を続けていた。
でも食欲は全然なかった。
箸も進まない。

本当はなにも食べずに「ごちそうさま」と言って、席を立とうと思っていた。
だけど、久しぶりのお母さんの笑顔を見ると、どうしても出来なかった。

それに対して、この人は……
ひとりで黙々と料理を口に運び、ビールを飲んでいる。
その表情は醜かった。
まるで周囲の存在を無視するかのように、時々薄気味悪い笑みを浮かべては、ひたすら口を動かしている。
そして沈黙の世界が当たり前になってきた頃、お母さんが口を開いた。

「舞衣。お父さんね……社長さんになるんだって。これはまだ正式決定ではないけど、近々開かれる取締役会議で、代表取締役に推薦されることが決まったの。だからその……言葉は悪いかもしれないけど、今日は前祝いっていうのかな。突然のごちそうに、舞衣も驚いたでしょう」

「……うん」

返事をしたものの、私には何がなんだか分からなくなっていた。
ううん、分からない振りをしたかった。

私は、嬉しそうに話すお母さんの顔を見つめた。
お母さんが笑顔を取り戻したのって、あの人が社長になるから?
それとも、家族揃っての久々のお食事だから?
……出来れば、後者であって欲しいな。

今度は、食事を続けるあの人の顔を見た。
あなたが社長になれるのは、有里のお父さんを踏み台にしたから。
自分の欲望のために、真面目に仕事をしている有里のお父さんを利用したから。
こんな人生を送って、あなたは恥ずかしくないの?

でもそんな私も、この人のことを一方的に悪くは言えない。
ここで生活する限り、自分も同罪だから。
今の私の生活……大学に通えるのも、普通に何不自由なく暮らせるのも、目の前にあるごちそうだって……
全部、この人が稼いだお金で成り立っている。
そう、舞衣だってこの人と一緒。

だったら、ひとつだけ解決方法がある。
私が大学に通っている間は、この人のお世話になりながら、有里への贖罪を続ける。
そして卒業して自立した後は、社会人として生活しながら、有里と家族の方への贖罪を続ける。
贖罪の仕方は色々あるけど、今は金銭的な贖罪は無理だよね。
出来る方法は……舞衣の……身体……

多分だけど、今の段階でこれが一番現実的だと思う。

 

 

200-40pix

mitinohosi

レメバナー21

shintsuyamilk2

banner_201401221950132f1

banner_20131213230538cb0

banner1

banner_lock

puloto

 
 
 
 

shu01

shu02

shu03

 
kanrinin01
 
toukou
 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA