第39話
バイブで絶頂 その1
8月23日 土曜日 午後9時50分 吉竹舞衣
「ひぎィィィッッッ! はぁっ、ああぁぁぁぁッッ……んんッッッ!」
ズズッて音が頭に響いて、膣の奥に何かが当たった。
トドメのような肉を切り裂く激痛に、ハシタナイくらい大きな声で絶叫した。
精神が壊れるくらいに震えて、贖罪という言葉が自信なく揺れる。
「はぁ、はあ、んんッ……はぁ、入ったの……? 全部……入っちゃったのっ?!」
私は肩で荒い息を繰り返しながら、恐る恐る視線を下へとずらしていく。
胸のふくらみからおへそ、さらに下腹部へと……
でも本当は見なくても分かっている。
膣全体に拡がる異物の違和感と、ジンジンと火傷をしたような痛み。
それに処女を喪失したという心の傷。
そして下腹部に貼り付いたままの両目が、消し去りたい映像を教えてくれる。
噴き出した汗が油を塗ったように光り、だらしなく左右に開いた太腿。
股間に突き刺さった状態で、グリップの円柱部分と、枝分かれした突起部分をわずかに露出させているバイブ。
その残りの大半を口いっぱいに拡げて飲み込んでいる、恥ずかしい割れ目。
女性の身体ってすごい。
こんなおぞましい異物をお腹に飲み込んでも、死なないんだから。
見て、舞衣のアソコ。
股の間からニョキッて飛び出して、まるで男の人のアレのよう。
ものすごく恥ずかしくて情けない姿なのに、なんだか滑稽。
笑いたくなる。
「処女膜喪失、おめでとうございます。舞衣さん。一生に一度の大切な儀式を、大人の玩具で経験された今のご気分はいかがですかぁ?」
いつの間にって感じで、ソファーの前に副島が立っている。
気が付かなかった。
私がつまらない感傷に浸っていたから?
それとも、下腹部の異物のせいで五感が鈍っているから?
「あ、あの……そんなことより……これ抜いてもいいですか? お、お話なら後でしますから……これ、苦しいんです」
「なにを仰います。せっかく舞衣さんを、天国に連れて行ってあげようと思っているのですから、もう少しバイブはそのままで……」
そう言うと副島は、突然腰を屈めた。
恥ずかしい姿のまま止め置かれている私の下腹部を、じっと覗いてる?!
バイブを飲み込んだままの割れ目を、薄笑いを浮かべた顔に覗かれている!
この人、これを動かす気なんだ!
思い出したくないのに、頭の中では卑猥な踊りをするバイブが浮かんだ。
ガラスのテーブルの上を耳障りなモーター音を撒き散らしながら、身体をくねらせて振動するおぞましい無機質な生き物。
怖い、怖いよぉ。
今それが動いたら……わたし本当に死んじゃうかも。
「直ぐに処女だった自分なんて忘れてしまいますよ。さあ私の前で、有里さんよりも可愛い声で鳴いてくださいね。舞衣さん……」
「イヤッ、コワイ! お願いします……もう少し……待って……」
背もたれに限界まで身体を押し付けて、ささやかな抵抗をするわたしに、副島はさらに微笑んだ。
簡単にわたしの両手を払い除けると、股間のバイブを握り軽く揺らした。
「ヒィッ……触らないでッ……んんッッッ、痛いッ!」
忘れ去りたい激痛が膣に帰ってくる。
涙がまた零れた。
「おやおや、この程度で鳴かれてはこれから先耐えられるでしょうか? 本当の快楽は、こんなものではありませんよぉ」
涙でかすむ視界の先で、カチッて音が聞こえた。
その瞬間、お腹の中で無機質な生き物が暴れ出した。
ヴイィ―ンッ、ヴイィ―ンッ、ヴイィ―ンッ……
「いやぁぁっっ、うっ、動いてる?! これ、お腹の中で動いて……痛いッ、痛いのぉっ……とめてぇ、お願いとめてください、ああぁぁぁ……」
股間から突き出たグリップが、うねうねと回転している。
そのたびに割れ目が醜く歪んでいく。
傷ついた表皮を、感情を持たないバイブが剥ぎ取っていく。
ものすごく痛くて、ものすごく辛くて、ものすごく哀しい。
でも耐えないといけないと思う。
わたしは有里の……