愛する人を守るため少女がセックスを勉強

 

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第33話
舞衣の覚悟 その2


8月23日 土曜日 午後8時30分  吉竹舞衣

「副島さん、これからは私がアナタのお相手を致します。だから有里を解放してください。お願いします」

もっと訴えたいことも、それに尋ねたいこともあったのに。
咄嗟に口を飛び出したのは、この身体を差し出すという、ちょっと格好いいセリフ。
そしてそれは、もう引き返すこと不可能な地獄への合言葉。

「ほぉ、いい度胸ですねぇ。さすがは、有里さんの大親友だけのことはあります。友の身代わりに自らが犠牲になる。麗しい友情ですねぇ」

「そんなことはどうでもいいんです。は、早く私を犯してください。せ、セックスしてください。その代わりに、有里には手を出さないで……」

私は、自分の発する言葉に驚いていた。
こんな大胆な単語を男の人に向かって話せるなんて。
でも、これでいいの。これでいいのよ、舞衣。

「ははははっ、これは驚きました。私も人を見る目には自信がありましたが、これではまだまだのようです。昨日会った印象では、自分の主張を言葉にさえ出来ないような、そんな内向的な方とばかり思っていましたよ。こうもはっきりと仰られるとは……いやぁ、これは思わぬ誤算。いえ、嬉しい誤算のようですねぇ」

副島がなにに笑っているのか? 
何が嬉しいのか? 
よく分からない。
ただ、私が否定されていないことだけは確かなよう。

「しかしですねぇ、これは出来ない相談ですねぇ」

「えっ?! どうして?」

副島の想定外のセリフに、私は続ける言葉を失った。

「これは私の直勘ですけど、舞衣さん、あなた処女でしょう」

「……!」

「別に答えなくても構いません。顔に書いてありますから」

「……だから……だからなんだと言うんです? 有里にしたように、私の処女を奪えばいいじゃないですかっ! そうすれば……充分、代わりになるはずです」

脳裏には、昨日見せられた映像が蘇る。
初めて受け入れる男の人のモノに、苦痛の表情を浮かべる有里の顔。
私の心がまた不安に怯え出す。

「それでは無理なんですよ。いいですかぁ、舞衣さん? 有里さんの父親の治療には、莫大なお金がつぎ込まれているのです。おそらく彼女は最低でも10年。下手をすれば、20年は辛い恥辱に耐え続けないといけないでしょうねぇ。ましてや有里さんよりも性技に劣る舞衣さんでは、当面彼女の代役は務まりません」

「でも、どうしても有里の代わりをしたいんです。お願いします。私、なんでもやりますから……どんな命令にでも従いますから……そうでないと……私……私……」

10年、下手をすれば20年の恥辱。
性の技術なんて、何も無い自分。
胸に太い針のように突き刺さる言葉の数々。

それなのに不思議……
心に嘘を付くことなく話せている。
もう少しこのままでいてね、舞衣の精神……

「う~ん。困りましたねぇ。そこまで舞衣さんが仰るのなら、ひとつこうしましょうか」

副島は、額に握りこぶしを押し当てて考える振りをしている。
でもこの人、全然困ってなんかいない。
その証拠に、冷酷なまでに目を輝かせて、顔に意地悪な表情さえ浮かべている。

きっとこんな目で有里を苛めたんだ。
……許せない……それでも……

私はゴクリと唾を飲み込み、副島の言葉を待った。

「実は私、先程からお二人の美しい友情に感激致しておりました。有里さんと舞衣さん。二人が行為に協力してくれるのなら、さっき話した年数を半分にしても構いませんよ。頑張れば、たったの5年で終了するかもしれません。まあ、こんなところで妥協していただけませんか?」

「私だけでは、だめなんですか?」

「そう落ち込まないでください。あなたの協力のおかげで、有里さんの負担が半減するのですから。彼女が聞けば泣いて喜びますよ」

「そのことなんですが……お願いします。有里には、私のことを内緒にしておいてください」

この部屋に入ってから何度目だろう。
私はまた副島に対して深く頭を下げていた。

「ええ、わかっていますよぉ。彼女には何も話しません。ただですね、舞衣さん。あなたには、相当辛い努力をしもらうことになりますよぉ」

「はい、分かっています。私、一生懸命頑張りますから、努力して……せ、セックスを覚えますから、その分だけ有里を楽にしてあげてください」

「そうですねぇ、考えておきましょう。ところで舞衣さん。今夜ここへ来ることを、ご家族の誰かには話されましたか?」

私は首を左右に振って補足した。

「今夜一晩、アナタの相手をしたって構いません。だから早く有里の代わりが出来るように教えてください」

家族のことを聞かれるということは、まだ信用はされていないみたい。
でも私が数日家を空けたって、あの家族はたいして驚かないと思う。
確かに母は多少心配するかもしれないが、うまく言い含めれば心配ない。
ましてや、父は……

「そうですか。これは楽しみになってきましたねぇ。それでは舞衣さんの覚悟が変わらないうちに、身体を試させてもらいましょうか」

副島はそう言うと撮影の準備にはいった。
多分ここでエッチな行為を撮影して、時田という男にコレクションと称して提供しているんだ。

部屋中の壁に設置された無数のカメラ。
そのレンズが私の身体を狙っている。

有里も、ここで恥ずかしい姿をカメラに晒したんだよね。
そんなこと夢にも思わなかった昨日までの私……
許してね、有里。

今からあなたに追い付くように頑張るから。
それまで、もう少しの間だけ我慢してね。

私は揺れ動く心を睨みつけた。
副島の指示を待つことなく、身に着けているものを脱ぎ始めた。

 

 

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