女の子の良心がズタズタに

 

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第18話
舞衣の贖罪 その3


8月21日 木曜日 午後3時50分  吉竹舞衣

カチャ……

病室の扉がまた開いて、今度は元気な女の子の声が響いた。

「お父さん、お見舞いに……?! ええぇぇっ! どうして……どうしてここに、あなたがいるのよっ!」

入ってきたのは、有里と有里のお母さんだった。

「あなた、どういうつもりよぉっ! 今すぐにここを出て行きなさいよ! 早く出て行ってよっ!」

有里は窓際の私達の元へ駆け寄ると、今にも掴み掛りそうな勢いで睨みつけている。

「有里、落ち着きなさい……」

「お母さんは黙っててっ!」

ヒステリックに叫ぶ声に、室内がシンとする。
私は有里の後ろで声を失い立ち尽くすおばさんに、目で軽く挨拶した。
そして、震える声で話しかけた。

「ごめんなさい。私が悪かったわ。有里、あなたの気に触ることをして本当にごめんなさい。ただ、私……有里のお父さんのお見舞いを、どうしてもしなくちゃいけないと思って、ここに来たの。だから、許して。お願い有里……」

「有里、有里って……! 何度もわたしの名前を呼び捨てにしないでよ! 友達でもないあなたに、呼ばれたくないのよ。さっ、出て行ってくれる」

私は有里に何度も頭を下げて、部屋を出て行こうとした。

「待ちなさいよっ!」

振り返ると、棚に置いたままになっていた花束を、有里が指さしている。

「このゴミも一緒に、持って帰ってくれないとね」

「有里……」

千里さんの言葉に少し希望が見えかかったけど、やっぱり幻想だったみたい。
そうよね。これが現実よね。
私は、有里の言うゴミを取ろうと腕を伸ばした。

「ストォップッ……!」

窓際から、誰かの声がした。

「ここは病室なのよ。あなた達、そのことが分かっているの? ここで大きな声を出すことは、ナースである私が許さないから」

「でも千里さん。舞衣がここに来るから、こんなことに……」

「有里、黙りなさい! ちょっと二人に話があるから付いてきなさい。さあ、有里! 舞衣!」

驚いた。千里さんって、こんなにしっかりしているんだ。
私は、同じように呆気に取られている有里と一緒に、千里さんの後を追いかけた。


10分後、私たち3人は、病院内にある喫茶室にいた。
向かい合うように、千里さんが、そして、私の隣に有里が座っていた。

有里はさっきからずっと、頬を膨らませながら目を泳がせている。
彼女がこういう表情をするのは、怒りが収まりかけて、ちょっと後悔しているとき……
私は長年の付き合いで、有里の表情から大抵の感情は読み取ることはできる。
別に彼女の性格が単純って訳ではないけどね。

「ちょっと驚かせちゃったね。でも、あそこで騒がれて患者さんに何かあったら、私の管理責任が問われるのよ。どうしたの? 以外そうな顔をして……」

「いえ。てっきり私と有里……さんのことを気遣って言ってくれたのかと……」

「ふふっ、これが大人の言い訳ってやつ。嫌いでしょう、こんな言い方。じゃあね、私の本心で言ってあげる。さっさと、こんなツマラナイ意地の張り合いは、おやめなさい」

「ツマラナイって……千里さん、ひどいよぉ……」

有里は私から顔を逸らせながら、拗ねたような声を出した。

「有里には悪いけれど、大まかな話は舞衣から聞いたわ。確かに、舞衣のお父さんはひどい人かもしれない。でも、それと舞衣さんは関係ないじゃない。血は繋がっているけど、ただ、それだけの関係……
人にはそれぞれ、確立された個性があるの。舞衣さんには、舞衣さんの。お父さんには、お父さんの。それぞれをはっきりと区別していかないと、家柄だとか、国籍だとか、ツマラナイものに囚われてしまうわよ。
今はまだ、お互いにわだかまりがあると思うけど、ゆっくりとでいいから、解きほぐすべきだと思うわよ」

千里さんはそう言うと、私と有里の両方に視線を合わせて、納得させるようにうなずいた。

「あの、千里さんはどうして、私や有里さんを気にかけてくれるんですか?」

「う~ん。二人が可愛い私の妹だから……これで、どう?」

私はくすくすって笑った。
隣を見れば有里もくすくすって笑って、目が合って笑うのをやめた。

「業務連絡、水上千里さん。至急、入院病棟6階のナース室まで……」

まだまだ続いて欲しかった幸せな時間に、突然の院内放送が終わりを告げた。

「あっ、さぼっているのが見つかっちゃったかな。もう行かないと。怖ーい婦長さんが、角を出していそうだからね。それじゃ、私の可愛い妹達。仲良くしてよ」

千里さんは慌てて席を離れた。
私は彼女を見送りながら、胸の中でそっとつぶやいた。

ありがとう、お姉ちゃん。

 

 

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