美少女が無防備な土下座

 

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第17話
舞衣の贖罪 その2


8月21日 木曜日 午後3時20分  吉竹舞衣

エレベーターの扉が開くと、6階のフロアーに降り立っていた。
廊下の壁に贖罪すべき名札を見付けて、心がまた折れそうになる。

「失礼します……」

控えめな声の私を、病院独特の消毒液の匂いが出迎えてくれた。

ドクッドクッって、また心臓が高鳴り始めてる。
知らず知らずのうちに、呼吸もしずらくなっている。

私は気持ちを落ち着かせようと、室内を見渡した。
西日を避けるためか、ブラインドの下がった部屋は、昼間だというのに薄暗い。
そして一目で見渡せる病室には、私と、静かに寝息を立てている有里のお父さんだけ……

あっ、そうだ!

花束を握り締めたままのことを思い出した私は、花瓶を探そうとおじさんに背を向けた。

舞衣、何をやっているのよ!
もうひとりの自分が、急かしている。

私は、自分の犯した罪から本能的に逃げようとしていた。
とりあえず花束を棚の上に置いた私は、重くなった身体を引きずるように医療ベッドの脇に立った。

「……おじさん、わかりますか? 私です。吉川です。有里さんの友だちだった吉川舞衣です。気を悪くされるかもしれませんが、私……おじさんに会いにきました。ですから、しばらくの間、ここにいさせてくださいね。
ところで、お身体の具合はどうですか? よく……ないですよね。これは言い訳になるかもしれないけれど、私……おじさんがこんなに苦しんでいるなんて知りませんでした。謝って済むことじゃないですよね。でも、本当にごめんなさい。
父がおじさんにした仕打ちは、私が心からお詫びします。有里さんが、私を憎む気持ちもよくわかります。ですが今でも、あの人はなんの反省もなく生きています。それが、当然とばかりに……
私は、あの人を父とは思っていません。あの人は、人間の顔をした鬼。そして私は……鬼の娘。
だから、父の罪を私なりに償いたいんです。これからの私の一生を、おじさんとおじさんの家族に捧げるつもりです。そして有里さんは、どんなことがあっても私が守ってみせます。
あの、怒らないで聞いてくださいね。かなり昔のことですが、おじさんの家にお邪魔するたびに、私に言いましたよね。『有里をこれからも、よろしく頼む』って……
あの時は、よくわからずに返事をしていたけれど。お願いします、おじさん。もう一度だけ、この私に仰っていただけますか。『有里をこれからも、よろしく頼む』って……
あ、無理しなくていいですよ。私はおじさんに会えただけで、充分にこれからの勇気をいただきましたから。
ちょっと話しすぎましたよね。ごめんなさい。あの、これからも顔を見せて構いませんか? 勝手と思われるかも知れませんが、私のわがままだと思って下さって結構ですから。
それでは、またお話をさせてください。今日はごめんなさい」

話し終えた私を、嗚咽が待っていた。
だけど、よかった。病室に誰もいなくて……

私は、眠っているおじさんの顔を覗き込んでから、履いている靴を脱いだ。
そして両手両ひざを床につけて、目をつぶり頭を下げた。

「許してください、おじさん」

私は、何度も何度も囁くようにつぶやいた。
ポタっポタって、水滴が床に落ちる音が聞こえる。
謝罪で涙なんてずるいけど、今だけは許してね、おじさん。

どのくらい、そうしていたのかな。
カチャッっていう扉の開く音と、「早野さん……」でピタっと止まった女性の声に、私の謝罪の囁きが中断した。

「ま、舞衣さんよね? なにをしているのよ?!」

驚いた様子で私に近寄った女性は、ナース姿の千里さんだった。
顔を上げた私を見て、更に驚いた顔をしている。

でも、私も驚いていた。
まさか、千里さんがおじさんの看護をしていたなんて。

「なにも言わなくていいから……」

千里さんはそう言うと、自分のハンカチで私の顔を拭いてくれた。
そして、窓際に丸椅子を置くと私を座らせてくれた。

「ごめんなさい、驚かせて……私、有里のお父さんに、どうしても会わなければいけないと思って、ここに来たんです」

「はーぁ、やっぱり……あなたと有里さんの間には何かあるのね。昨日会ったときも、お互いにぎこちなかったから……」

やっぱり千里さんは気が付いていたんだ。
私と、有里のこと……

「もう、しょうがないわね……ひと肌脱いであげるわ。私のことを本当のお姉さんだと思って、全部話しなさい。内容によっては、いい答えが見つかるかもしれないからね」

「……私……わたし……」

千里さんがせっかく顔をきれいにしてくれたのに、また涙が溢れてくる。
私は声を詰まらせながら、今までの経緯、今の私の気持ち、その全てを話した。
千里さんは時折うなずきながら、じっと私の目を見つめて耳を傾けてくれた。

「よく話してくれたわね。辛かったでしょう、舞衣さん。あなたの気持ち、私にもよーくわかるわ。私も……ううん、今は舞衣さんの今後のことだよね」

しばらくの間だった。
千里さんは窓の外を眺めるようにして、じっと黙っていた。
そして考えがまとまったのか、私に微笑みかけるようにして口を開いた。

「……確かに、あなたが罪の意識に悩みながらここまで生きてきたことには、私も同情するわ。でもね……もっと割り切ったほうが、楽じゃないかしら」

「割り切る?」

「そう。罪の意識を片隅に残しておいて、普通の18才の女の子らしく、あなたの有里さんに対する思いをぶつけてみるの。すぐにはできないと思うけど、ゆっくりとそういう努力を続けていけば、有里さんもきっと心を開いてくれると思うから……」

「私にできるかな?」

「大丈夫。舞衣さんなら、きっと……」

私は、千里さんにお礼を言おうとして立ち上がった。
その時だった。

 

 

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