美人ナースの秘密の告白

 

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第9話
新たなる標的


8月18日 月曜日 午後8時40分  水上千里

「早野有里……」

私は、彼女を応接室まで案内した後、この名前をつぶやいた。
あれから、もう8年か……

人気のない暗い通路で、私の記憶が遡っていく。

私は13歳の頃まで、彼女の家の近所で暮らしていた。
彼女、有里さんとも面識があったし、小学生の頃はよく遊んだりもしていた。

あの頃の有里さんは、可愛らしい女の子というより、やんちゃな男の子って感じだったかな。
いつも公園の中を走り回っていて、あの子がお人形を持って遊んでいる姿は全く記憶がないもの。

でも、変わるものよね。
当時の面影もなくはないけど、少女というより、もう大人の女性って感じだからね。

きっと恋人もいるんだろうな……
羨ましいな……

ただあの感じだと、私のことは覚えていないって雰囲気かな。
ちょっと、寂しいね。
まあ、仕方ないかも……
あの時とは苗字も変わっているしね。

でも……彼女……
こんな時間に、あの部屋に何の用があるのかしら?
あの部屋は確か……

……あら?
私は暗闇の通路に佇む人影を見付けた。

あなたは……有里さんと一緒にいた方よね。
ここで何をしているの?

……うん?
有里さんの力になって欲しいって?

よく分からないわね、あなたの言うこと。
彼女のお父さんが入院している意外に、何か問題があるの?

確かに、彼女の父親である早野勇さんはこの病院に入院している。
そして彼を担当しているのは、ナースであるこの私……

あっ、ちょっと話がややこしくなってきそうだから、私のことから説明しようかしら。

私の名前は水上千里。
21歳で独身。
ただいま付き合っている男性はなし。
現在、彼氏募集中……

うん、まあこれは冗談だけど、この病院でナースをしているの。
……と、いっても、この病院に勤め出してまだ4日しか経っていないけどね。

なぜ、ここに来たかって?

それはいろいろあるけど……
一番の魅力は、お給料かな。
前に勤めていたところよりも、断然いいしね。

それに、ここの内科医部長をしている松山先生に、しつこいくらいに誘われて……それも理由のひとつ。
おまけに母の介護施設まで紹介してもらって。

私の母はね、若い時の無理がたたって、現在はほとんど寝たきりなの。
ここまで条件が揃えば、まあ、決断するしかないでしょ。

でもね、今はちょっと複雑な気分。
ここはスタッフの人数、扱う機材の種類と、前に勤めていた病院とは比べ物にならないくらい充実しているわ。
当然それに見合うだけのスキルも、これから要求されると思う。

私もナースになってそれなりに、技能は身に着けたつもり。
当分の間、仕事に慣れるまでは辛そうだけど、モチベーションを高く持っていれば、なんとかなると思う。

問題は職種の違いかな。
私が以前勤めていた職場は、産婦人科だったの。
入院している方も、生命を生み出す若いエネルギーに満ちた……そう、妊婦さんたち。
まあ、生命が誕生する施設ってこと。

対して私が配属されたこの病棟は、重い内臓疾患のある患者さんばかり。
今朝も松山先生が診察をしている間、私はカルテに記されている投薬をチェックしながら、患者さんの顔色を見ていたの。

同じ入院している人でも、こうも違うものなの?
血色の悪い肌色……
やせて脂肪はおろか、筋肉さえも失った骨と皮だけの細い腕……

看護学校を卒業してからの3年間。
私は病院勤務をしていながら、人の死に立ち会うことは無かったの。

でも、これがナースとしての本来の業務。
そう思っても、まだやり切れなさのある自分がいる。

……あら。ちょっと愚痴っぽくなったわね。
ごめんなさい。

あなたを見ていると、つい話さなくてもいいことまで話してしまうわね。

まあ、安心して。
私もナースという仕事を選んだ以上、どんなことがあっても挫けないから。
そして、ひとりでも多くの患者さんに元気になって欲しい……そう思っているの。

それで、私の抱負はもういいから、早野勇のことを知りたいって?
……あなた、意外とドライなのね。

早野勇さんが入院していることを知ったのは、勤務2日目のことだったわ。
初日は、各フロアーの見学、説明などで費やされて……
実質勤務になるこの日の朝、私は受け持つことになる患者さんのカルテをチェックしていて気が付いたの。

名前を見たときには驚いたわ。
私も小さい頃は、早野のおじさんによく面倒を見てもらったから。

私はもう一度詳しく、カルテに記されている文字を追った。
カルテには、心臓を中心とした複数の病名が記されていたわ。

医師ではない私には、全て理解することは難しい。
だけど投与されている薬が保健認可外とすると、症状は相当重いのではないか?
そう思った私は、担当医である松山先生に詳しい説明を求めたの。

でも、私と早野さんの関係を持ち出すわけにもいかないし。
あくまで担当するナースとしての、知識を深めたいという理由で……

先生は言葉を濁しながらも、私の考えていた答えと同じことを言ったわ。
病状は深刻。治療費も保険が効かないと。

それじゃあ、あの親子は……?
思わず顔色を変えた私に驚いたのか、先生は黙ってしまい最後に一言だけ。
「近い将来、水上君にも分かる」って。

今思い出しても、あの時の先生の目付きって……なんだかいやらしい。
やっぱり思い出したくない。

確かに、初日に挨拶したときから全身を舐めるような視線に、悪寒が走っちゃって。
それで思ったの。

私って、上司には恵まれないタイプなのかも知れないって。
前に勤めていた所も嫌な先輩は一杯いたけど、あの目は私の身体を性的な対象として見ていたと思う。

あっ、向こうから松山先生が歩いて来る。
噂をすればってやつかしら……

また会うことがあると思うから、ちゃんと私のことも覚えておいてね。
それと……これは私の勘だけど、この後大変なことが起きそうな気がするの。
その時はあなたの助けも必要になるかもね。
それじゃ、またね。

私は軽く会釈して、先生の横を通り過ぎようとした。

「あ、そうだ水上くん。今週の金曜日なんだけど、予定を空けておいてくれないかな。ちょっと、相談しておきたいことがあるんでね」

私は薄暗い廊下で、先生の目が怪しく輝くのを見逃さなかった。
なによ、その目。
この人、変なことを企んでいないでしょうね。

「金曜日ですか……シフトを確認しないとなんとも言えませんが、空けておくように努力します。それで……何のお話でしょう」

「申し訳ない。ここではちょっと……」

先生は人目を気にする素振りを見せながら、さりげなく私を見下すように見つめた。

「とにかく、その時になったら私の診察室まで来なさい。これは、君にとって大切なことだから……」

「大切なこと?」

「そう……君の一生を左右するほどの重大なことです。もし来られないときは、あとで相当後悔することになるかもしれませんよ。
と言うのも、君にとってはナースの職業さえ失いかねない大事な話ですからね。クックックックッ……待っているよ……」

松山先生は半分脅しのように話すと、有里さんのいる応接室の方へ歩き出した。

一体、どうなっているのよ。
この病院にいられなくなるって……?

私の脳が警戒信号を発している。
これは何かの罠だと……危ないって……

でも、行くしかなさそうね。
まだナースとして働きたいもんね。

それにしても有里さん。大丈夫かしら?

私は、もう一度応接室に戻ろうとしたけど、どうしてなのか身体が動かなかった。
そこに行けばまたひとつ足枷が増えると、誰かが警告していた。

 

 

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