あの子のためなら私はどんなことでもします!

 

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第34話
贖罪~友へのケジメ


8月12日 火曜日 午後2時30分  吉竹舞衣

私は電車を降りると、真っ直ぐに自宅に向かった。
このあたりは有里の住む下町に比べて、どの家も立派な門構えを備えた閑静な住宅街といったところ。
そして私の住んでいる家もまた、ご多分に漏れず、ちょっとした門のある洒落たデザインの造りになっている。

ここに越して来たのは、私が中学校を卒業した頃。
父の亘は家族の将来とか何とか理由をつけて、この家を購入した。

昔から見栄っ張りな人だった。
どうせ経営者の親族という立場上、それなりの住宅をと考えたのに違いない。
私は今でもそう思っている。

でも私は、以前住んでいた所の方が好きだった。
家は小さかったけど、周囲の人達は優しく、それに大らかで……
何よりも親身になって接してくれた。
どこか他人行儀のよそよそしさのある、この街の人たちとは大違い。

ごめんね。家まで案内するって話しておきながら、こんな愚痴ばかり言って。
あなたも不思議に思っているでしょう。
まあ、詳しいことは外では話しにくいから。
さあ、中にあがって。

「……ただいま」

私は階段の脇に鞄を置くと、リビングに入った。

「……お帰り……麦茶……冷やしておいたわよ」

気遣いのある言葉にしては、全然覇気の無い声。
私が部屋にいることも興味無しといった感じで、中年の女性はソファーの背もたれに身体を預けている。
そして、虚ろな目付きでサスペンスドラマを眺めている。
……と、言うのも、テレビの中で繰り広げられる熱いセリフにも、ほとんど反応を示さないから。

一応、紹介しておこうかしら。
彼女が私の母親で、吉竹美沙子。
ちょっと変わっているでしょ。

私はガラスコップに麦茶を注ぐと、一気に飲み干した。
思った以上に喉が渇いている。

「お母さん。ガレージにお父さんの車が有ったけど……いるの?」

私は飲み終えたコップをテーブルに置きながら、天井を指差した。

「……書斎にね……珍しいでしょ」

母はテレビから目を離すこと無く、覇気の無い返事をした。

「私、着替えてくるわね」

やはり、返事はなかった。

私は、なるべく足音を立てないように階段を上った。
別に気を使っているのではない。
ただ、会いたくなかったから。

自分の部屋に入り、ふーっと息を吐き出す。
そして、聞きたくも無いのに耳を澄ましていた。

低く響く打楽器の音と、主旋律を奏でる弦楽器の音色。
父が好んで聴くクラシックの曲だ。

窓を全て開いた。
部屋に充満する熱く淀んだ空気は放出され、幾分爽やかで新たな空気が流れ込んでいく。
同時に、外からの喧騒に音は支配される。

あなたには悪いけど、父に直接会っての紹介は勘弁してね。
……それに、有里から聞いているでしょ。
彼女がどう話したのか、知る由もないけれど……それが真実よ。
私もあの男は嫌いだから……

それに、彼には愛人がいるの。
1か月の大半は、彼女のマンションで暮らしている。
この家にいるのは、月に3、4日ってところ。
それもほんの少し、顔を覗かせる程度……
家族揃っての食事なんて、ここ数カ月したこともないわ。

そのせいで、お母さんも変わってしまった。
昔は優しくて、笑ったときの笑顔がきれいで、自慢の母だったんだけどね。

どんなに立派な家を造っても、どんなに会社で出世しても、どんなにお金儲けをしても、私はあの男を許せない。

でも、今の私には抵抗すら出来ない。
この家で生活している限り、ただの籠の鳥と一緒。

あなたにだけ、本当のことを告白するわね。
実は私、有里と家族の方にどうやって贖罪をするか……?
それで今、悩んでいるの。

確かに悪いのは父……
でも、娘である私にも責任は免れないと思っているから。

そうだ。あなたにお願いしても、いいかしら?
これからも時間が有るときでいいから、私の相談に乗って欲しいの。
そして、有里のことをもっと教えて欲しい。
そうすれば、私の贖罪も叶いそうな気がするから。

【少女涙の羞恥生活 前篇 完】

 

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