【最終章(2)】
「・・衣装合わせ、この前やったじゃないですか?」
「そうなんだけどな、まだなんだとさ。・・これも所長命令なんだよ。その後サイン会がある。けどな、俺は行けそうもないから七種が一日おまえについてるんだ。」
「・・・そうなんですか。」
藍は複雑だった。真里・・この前のようなことが、また・・怖い気持ちと、嬉しいような気持ちが同居していた。
「心配だからこっちが片付いたらすぐ行くけどな、おまえ、気をつけろよ?!」
「気をつけろったって・・」
「・・・この前言ったろ? 見境ないからな、あいつ。所長まで使って俺引き離して・・・絶対なんか企んでるからな。」
藍は高科との出来事、手首の跡、そして岸田の電話にもうわけがわからなくなっていた。
「だいじょぶですよ。あたし、子供じゃないんですから。」
もう話を切り上げて電話を切りたかった。
しかし岸田はまだ続けた。
「何言ってんだ! おれからすりゃ、おまえなんかまだ子供なんだよ。なんかあったら困るんだ。」
「だいじょぶですって。もう子供じゃありません! 今日だって・・・」
藍は「もう経験した」と危うく口にしそうになったが、ハッとして口を噤んだ。
「今日だって?」
「な、なんでもないです。いつまでも子ども扱いしないでください!」
「・・・まぁ、なんでもいい。なんかあったらすぐにケータイに電話しろ! いいな?」
「はいはい。わかりました。」
藍の気の抜けたような返事に、岸田はすぐに返した。
「おいおい、おまえなぁ、心配するほうの身にもなってくれよ。なんかあってもしらねーぞ、おい。」
「はい。だいじょぶですって。早く終わらせて迎えに来てくださいね。」
「わかったよ。まったくよぉ。じゃあ、な。」
藍はクスクス笑いながら電話を切った。岸田がムキになって自分を心配しているのが嬉しかった。
(真里さん・・・かぁ・・)
しかし藍は今日の出来事で頭がいっぱいだったので、あまり考えていなかった。
部屋に戻り、藍は高科の事を考えていた。
(・・・先輩に、抱かれたんだ・・)
藍は嬉しかった。高科に抱かれたことで全ての出来事が消し飛んでいた。いや、消えたわけじゃない。しかし少なくとも嫌な思いではなかった。
藍はその夜、眠れそうになかった。考えれば考えるほど、目をつぶればつぶるほど高科の顔が、手が、体が鮮明に蘇って来る。
ア○コが熱くなってくる。
(・・・もう、眠らなきゃ。明日早いし・・)
しかし体の火照りがどうしても取れなかった。
まだ、痛めつけられた乳首とク○○○スが疼いていた。その上ア○コには、高科に入れられた時の、何か挟まっているような違和感が残っていた。
藍は、火照りを冷まそうとして、そっと熱くなっているア○コに指を伸ばした。
指が触れた瞬間、ズキンと痛みが走った。
「ううっ・・・」
藍の口から、小さな喘ぎが漏れた。その痛みの中で、一層鮮明に高科とのことが思い出された。藍の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「せんぱい・・・ありがと・・・」
しかし、藍の顔は穏やかだった。痛みの中で、高科と結ばれた時の、あの幸せだった気持ちを思い出していたのだった。
当然の出来事として受け止めていたから・・自分の望んでいたことだと、心のどこかで理解していたからだった。
藍は目をつぶってみた。瞼の裏に高科の顔が写っていた。そしてその情景の中に自分を重ねていた。
(せんぱい・・・また、抱きしめて・・・)
やがて、藍は眠りに落ちた。藍の顔に安らぎが・・・微笑みが浮かんでいた。
【放課後の憂鬱 完】
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アブナイ体験とSMチックな官能小説