父親の前でスケベな水着を晒す少女

 

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第1話
地下スタジオのアイドル その1

「雪音、お父さんを許してくれ……」

ひとりになっても、耳にこびりついたままの声。
その声に後押しされるように、あたしはうなずいてみせる。
そして服を脱いでいった。
残りの2枚、ブラジャーとパンツも一気に脱ぎ去ると、足もとの紙袋に片手を突っ込んだ。

取り出したのは紫色をしたビキニの水着。
軽くて薄くて、顔が真っ赤になるくらい生地の面積が小さくて……
とても人前には出られないエッチな水着。
それなのに、あたしはその水着を身に着けていく。
……着けないといけないの。

裸のままブラを胸にあててみて、紫色のパンツを腰の前で拡げてみせて……
悲しくて泣いちゃいそうな自分に、無理やり『がんばれエール』を送って……
女の象徴の部分だけを頼りない布切れで隠すと、鏡にその姿を映し出していた。
よそ見をしながらチラリと変態女の子を観察してみる。

「ふふ……こんな格好、恥ずかしいよね。でも……がんばらないとね……」

紐と呼ぶのに相応しい薄布に、零れそうな乳房が挟み込まれている。
それを両手の指が微調整していく。
白くて弾力のある丸い塊の中心を凹ませて、このままだと晒されちゃう乳首とその周囲の乳輪になんとか布を押し当てた。

そして、同じく紐でしかないショーツを恥ずかしい割れ目に沿わせて整えた。
伸縮性のある生地の下に人差し指を入れると、Tバックになってるお尻の方までぴったりと中心線に合わせていく。
太ももをひらけば、ぷっくり膨らんだ大陰唇は見えちゃってるけど、さすがにそれは隠せない。
女の子の大切な部分だけ、紫色の細いラインを引っ張っただけだから。

「雪音……こっちは準備ができたよ」

ドアの向こうから申し訳なさそうなお父さんの声が聞こえた。

弱々しくて、頼りなくて……
父親らしい威厳なんか全然なくて……
それでも、雪音のたったひとりの大切な家族……

あたしは鏡に向かって水着のファッションショーをする。
クルリと一回転してみせて、涙目のままにこりと笑う。

「せめて、綺麗に撮影してね。お父さん……」



「雪音……すまない……」

ドアをひらいた先は、何もかもが寒々とした部屋だった。
追い打ちを掛けるように、忘れ去りたい言葉が鼓膜に上塗りされる。

「もうお父さんったら……それは言わないって、約束したでしょ」

「……すまない」

「はあ~、また言ったぁ。ダメじゃない……もういい。さっさと始めよう。ね、お父さん」

「すま……いや……ああ」

お互いに微妙に喉を震わせた声が、コンクリートに包まれた部屋の中で反響している。

据え付けのカメラを覗きながら、お父さんの黒眼がチラチラとあたしを覗いた。
覗いては慌てて足もとに視線を落した。
あたしは、それに気付かない振りをしてカメラのレンズと向き合うように立つ。

一段高くなった真っ白な床の上。
床だけじゃない。背中の壁も両サイドのボードも、全部真っ白。
そして、天井からとカメラの左右からも強いライトの光で、裸よりエッチな雪音の身体が照らし出されている。

「それじゃあ、いつものポーズから」

か細いお父さんの声が、レンズ越しに指示を出した。
その言葉に反応するように、身体が勝手に覚えこまされた動作を始める。

気をつけの姿勢から、左足のひざを外側に向けてひらいていく。
腰をちょっと捻って左肩を前に張り出させて、斜めから覗き込むようにカメラを見つめて、はい笑顔。

カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

そのままのポーズで、両手で肩にかかる髪をかき上げてバストを強調させて、アゴを上げ気味に、はい挑発的な笑顔。

カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

カメラに向かって、Tバックのお尻と背中を見せて振り向くように上体だけ捻って、くちびるを尖らせて、はい笑顔。

カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

まるでプログラム通りに動くロボットのように、あたしはポーズを決めていく。
それを、黒くて丸いレンズが乾いたシャッター音を響かせながら焼き付けていく。

これが普通のビキニだったら……
それでも、親子ふたりっきりでこんな撮影をしてたら大変だけど……
お尻もおっぱいも大切な処も、全然隠せていない水着でポーズを決めているなんて、もっともっと大変だよ。
大問題だよ。絶対におかしいよ……普通なら……

でもその間、お父さんは無言でカメラを操作している。シャッターを押している。
額に貼り付いた汗も拭わずに、暑くなんかないのに肌寒いのに……
……まるでロボット。

そう。あたしが感情という言葉を忘れたロボットだったら、お父さんは狂気という感情に支配されちゃった壊れたロボット。

「いいねぇ」とか「最高だよ」とか、全然うれしくないけど、声くらい掛けてくれたっていいのに。
実の娘が泣き叫びたくなるのを必死で我慢しているのに。

「少し、休憩しようか?」

振り絞って出した声は……たった、それだけ……?!

 
 
 

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