第11話 地下室での洗礼
ビシィィッッ! バシィィッッ!
肉を打つ乾いた音が、レンガで造られた部屋に響いた。
お義母さんが遥香のほっぺたをぶって、お義父さんが、孝太のほっぺたを力任せに殴りつけている。
空気の淀んだ寒々しい所に連れ込まれて、何回ぶたれただろう?
何回、冷たいコンクリートの床に這いつくばっただろう?
結局わたし達を拘束した男の人は、この屋敷に仕えている人だった。
名前を今川って言うらしい。
その人からお義父さんとお義母さんに引き渡されたわたしと孝太は、血の気を失った弥生さんと皐月さんに見送られて、屋敷の離れから地下に通じる階段を下りるように命じられた。
何に使うのかさえ分からない道具と、コレクションのように壁に掛けられた数種類の鞭が見守る不気味な地下室へ。
「ったく、舐めたことをしてくれたわね。鞭打ちくらいでは腹の虫が収まらないわ!」
「ハハハッ! 腹の虫が収まらないか。それにしても大したガキ共だ。ここから本気で逃げ出そうとするとはな」
殴り続けた手を止めたお義父さんは、ヒステリックに叫ぶお義母さんに目を向けた。
そして、わたしと孝太の顔を交互に見比べていた。
「どっちが、こざかしい作戦を練ったのか聞いてみたいが、たぶんお前たちのことだ。互いに庇い立てをして埒が開かんだろうな。それでだ、お前たちの身体に直接訊いてやる。まずは服を脱いで素っ裸になるんだ」
お義父さんの低い声が、地下室の壁に吸い込まれていく。
わたしと孝太は、顔を見合わせてブルブルと震えていた。
5分後……
わたしと孝太は、地下室の壁に背中を向けて立たされていた。
腕組みしたお義父さんとお義母さんの視線に舐め回されながら、わたしは胸とアソコを隠して。
孝太は男の子の部分を両手で覆って。
お義父さんに裸になるように命令されて、お義母さんが手にした鞭で床をビシッと鳴らされたら、もう身体が勝手に反応していた。
わたしも孝太も競い合うようにして、着ていたモノを剥ぎ取っていた。
「二人とも、手がジャマよ。さっさとおのけ」
ビシィィッッ!
「ひいっ! は、はい……孝太も、早く……」
打ち鳴らされる鞭音がレンガの壁に反響して、わたしは両手を引き剥がすと腰の横に押し付ける。
唇を噛んで抵抗しようとした孝太にも、そっと耳打ちして同じポーズに誘う。
「ほおぅ、千津子の言う通り中々の上物だな。生娘だと聞いたが、あんな藪医者に水揚げさせるのは、ちと惜しいな」
「もぉ、ここにきて心変わりは嫌ですよ。それよりもアナタにお願いがあるの。孝太のことなんだけど……ね、いいでしょう?」
「あぁ、千津子の好きにするがいいさ。だが、ケジメは付けさせてもらうぞ。お遊びはその後でな」
わたしは二人の会話を耳にしながら、下を俯いていた。
お義母さんだけではない。お義父さんにまで
素肌を全部晒して、それで平然と前を向けるほど遥香の心は強くないもの。
でもそれは、孝太も一緒みたい。
じっとコンクリートの床と睨めっこするように、痛々しく腫れ上がった顔を俯けている。
そうよね、男の子だってアソコを隠さなかったら恥ずかしいよね。
その気持ちって、男の子も女の子も共通だよね。
「遥香、こっちへ来るんだ」
「孝太は、アタシの方だよ」
全裸のまま晒しものにされていたわたし達を二人が呼んだ。
わたしは孝太の背中に手を当てる。軽く撫でてあげた。
ボディーガードのように頼もしい孝太の勇気を分けてもらいたくて。
代わりに、女の子だけが持っている母性愛で、残された孝太のハートを包んであげたくて。
そしてわたしは、お義父さんの元へ向かった。
孝太は、鞭をぶら下げたお義母さんの方へ歩いていく。
「遥香、股を拡げろ」
「……!」
「聞こえなかったか? 股を拡げてオマ○コを見せろと言ったんだ!」
パシィィッッ!
「痛いッ! は、はい……」
お義父さんのグローブみたいな手の平が、わたしのお尻に炸裂した。
骨まで伝わる激痛に、反抗する無意味さを教えられて足を開いていく。
目の前にいるのは男の人なのに、またぶたれるのが怖くて、恥じらいも忘れたわたしは肩幅いっぱいに両足を拡げた。
「ふんっ、素直にしないから痛い目に合うんだ。覚えとくんだな」
「……はい、お義父さん」
涙を滲ませながらしおらしく返事をしたら、お義父さんが目を細めた。
ギラ付いた輝きを細い瞳に閉じ込めたまま、ゆっくりしゃがむと右腕を伸ばしてくる。
内股の筋肉が震えているのに平然とその間を真っ直ぐに進ませて、遥香の恥ずかしいお肉に触れた。
お義父さんなのに。親子なのに。
娘になったばかりの遥香の割れ目に、当然のように指を沈めた。
じゅにゅ、じゅにゅ……にちゅ、にちゅ……
「嫌ぁっ! やめてぇ……触らないでぇっ!」
「うるさい! 暴れたらまたケツを叩くぞ!」
「あ、あぁぁっ……それは、許して……」
ゴツゴツして骨ばった指が、割れ目のヒダをスルスルと擦り上げていく。
おぞましくて全身の肌が鳥肌に変化して、それでもわたしはされるがままに、じっと我慢するしかなくて。
「あらぁ、勃ってきたじゃない。皮被りだけどちゃんと男の子してるのね」
「お義母さん、止めて……うぐっ、あ、ああ……」
「孝太……やだ、ひどすぎる……んんっ……」
わたしはお義母さんに弄ばれる孝太に顔を向けた。
気持ち悪いだけなのに、段々熱を帯びてくる自分のアソコが信じられないまま、男の子の部分を弄るお義母さんを茫然と見つめていた。
ぬちゅう、にちゃ、にちゃ……ぴちゅ、ぴちゅ、ぴちゅ……
「はぁ、はああぁぁぁ……やだぁ、腰が……お義父さん、もう……やめて、ふうぅぅんんっ」
「遥香は感じやすい体質のようだな。こんなに父親の指を汚しよって。いけない娘だ」
指が動くたびに腰が揺れている。
お義父さんが指先を揃えて、割れ目の底まで引っ掻くたびに鋭い電流が背筋を貫いていく。
これって感じているの?
遥香はお義父さんの指にアソコを弄られて、エッチな気分になってるの?
分かっているのに。遥香はこっそりとオナニーするエッチな女の子だから知っているのに。
わたしは顔を伏せて目も伏せて、顔を赤らめたまま鼻呼吸を荒くしていた。
ちょっぴり目を潤ませたまま、お尻もモゾモゾさせた。