【第6章(5)】
藍が唇を開くと、真里が舌を差し入れてきた。真里の舌は、藍の口の中で動き回り、藍の舌を追いかけ、追いつめ、そして絡め取った。
「むふふぅぅぅ・・・」
藍のため息のような息遣いに、甘い響きが混ざっていた。藍の目は、夢見るようにトロンとして、いつしか閉じられていた。
真里がそっと舌を抜く。そして藍の頬を唇で撫でるようにしながら、首筋に息を吹きかけた。
藍が薄く目を開けると、真里は唇を藍の耳たぶに当て、そっと咬んだ。
「あ・・はん・・」
藍のため息が漏れた。身体がビクンと動いた・・・と真里は藍の耳に
「ふふふ・・・残念だけど、今日はこれでおしまい。解放してあげるわよ。」
と囁くように吹き込んだ。
「・・・えっ・・もう・・・どうして・・」と思わず藍は聞いていた。
そう言ってしまってから
(あっ、いけない・・嬉しがらなきゃ・・)
と思った。
しかし心の片隅には、何か新しい感覚が真里の愛撫で目を覚し、動き始めたのを意識していた。
真里には、藍の言葉が聞こえなかったようだった。すっかり冷静な顔に戻ると
「藍、もうすぐお迎えがくるってよ」
といいながら、手馴れた感じで藍を拘束していた枷を外した。
藍はやっと自由を取り戻した。立っていられなくて、床に座り込んでしまった。それでも解放されて、ホッと安堵していた。
しかし、何かが足りなかった。確かに物足りない感じがしていた。安堵する反面、そんな中途半端な気持ちを覚えるのだった。
真里は藍に手を遣り立たせると、ゆっくりと水着を脱がし始めた。
「えっ! あっ! じ、自分で・・」
藍が言い終わる前に、真里は手を藍の口にあてた。
藍は黙ってされるがまま、真里の動作を見守った。
水着が藍の体を離れ、床に落ちた。真里は藍の股間を濡れたタオルで拭きはじめた。
「あ・・ん・・!」
藍が声をだすと、真里が話し始めた。
「藍、岸田には注意しなさいね。あいつはあぶないわよ・・」
「・・・・・」
藍が黙っていると、真里は藍に服を着せながら続けた。
「私はあなたの味方。いつでも藍を守ってあげるわ。さぁ、着替え終わりっと。もう、外にお迎えが来る頃よ。早く行きなさい。」
藍には、真里の言うことがよくわからなかった。
まだ、先程の興奮が冷めずに、頭の中がボーっとしていた。
それでも、真里の言葉に、真剣なものがあるのを感じていた。
藍は鏡に映る自分の姿を見て、髪を直すと、あやふやなまま真里に言った。
「・・・・はい。じゃあ、また。」
藍が外に出ようとドアノブに手をかけると、真里が呼びとめた。
「藍、今日のことは誰にも言っちゃだめよ。知られてもだめ。約束よ。」
そういいながらウインクする真里に、藍は静かにうなずくと部屋をでて外にいる岸田の元へ急いだ。
向こうから岸田が歩いてくるのが見えた。
藍は岸田の元に走った。
走りながら藍は、なぜか真里に惹かれていく自分に気が付いた。それが少しも不思議には感じられなかった・・・。
この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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アブナイ体験とSMチックな官能小説