【第4章(6)】
それは昨日以上の、激しい絶頂だった。信じられない、例えようもない快感だった。
その快感の中で、藍は大きな声をあげていた。
藍の絶頂に達したその声は、シャワーの音の中に消されるはずだった。
が、声が終わる前にシャワーの音は止み、同時に藍を打ち続けていた水が止まった。
静まったシャワー室に、藍の声の余韻だけが残っていた。藍はそのことに、すぐには気が付かなかった・・・。
(あぁ、またわたし・・)
藍は少し我に返りかけた。が、それをさせないかのように藍を閉じ込めていたドアが開いた。
パチパチパチパチ・・・・・
藍がゆっくりと顔をあげると、高科を始め部員全員が藍に拍手していた。
藍は何がなんだかわからず、呆然とそれを見ていた。
やがて高科が口を発した。
「・・・・さすがだね。藍ちゃん。名演技だったよ。」
「・・・・」
「さすがプロ。ここまでやってくれるとはねぇ! しかも台本どおりに! ただ「高科先輩!」は余計だったけどね・・」
藍にはまだ理解できていなかった。が、少しずつ判ってきた。
(やっぱり・・・わたし・・はめられてる・・の?)
藍はおぼろげな動作で、高科が差し出した台本を左手でとり、そのシーンを確認した。
それは前に藍がもらった台本とは、全く違う内容だった。
そこには閉じ込められ、叫び、放尿し、自慰をする主人公・・いまさっきの藍の姿そのままが書かれていた。
(・・・あぁ、なんで、こんなことに・・)
高科は笑いながら続けた。
「藍ちゃん、あんまり良かったんで、このシーンはこのまま使わせてもらうことにするよ! NGは編集すりゃいいからさっ!」
「・・・えっ? ビデオ、撮ってたの・・・」
藍には次の答えがわかっていたが、思わずそう聞かずにはいられなかった。
「あぁ。良かったよ、藍ちゃん。芝居とはいえ、よくやってくれたよ、なぁ、みんな!」
高科の言葉に、部員全員がにやにやしながら何度もうなづいていた。
藍が上を見ると、扉の隙間からビデオカメラのレンズが覗いているのにやっと気づいた。
藍はうつろな目で高科に言った。
「先輩・・・信じてたのに・・・」
高科はまるでいたずらを仕掛ける少年のような澄んだ、そして獲物を狙う狼のような鋭い目をして、やさしく藍に囁いた。
「藍ちゃん。まだ始まったばかりじゃないか。そんな顔してちゃだめだよ。」
その言葉に、藍は自分の中で何かが弾けたような気がした。
そして、藍自身もまた「もう一人の藍」の支配から逃れられなくなっていた。
「藍ちゃん、今日はここまでだ。明日から次のシーンに行こうね。」
「はい・・・」
藍はすべてを受け入れたかのように、自然に返事をしていた。
そして、自分にこれから何が起こるのか、想像しただけで、濡れていた。
その時、藍の右手はまだブルマーの中にしっかりと入っていた。
この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
尚、著作権は、「ひとみの内緒話」及び著者である「ジャック様」に属しております。
無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。
アブナイ体験とSMチックな官能小説