【第3章 (2)】
藍は玄関を開け、すぐに自分の部屋に入ろうとした。が、秋に見つかってしまった。
「おねーちゃん、髪がずぶ濡れじゃない? どうしたの?」
秋は藍を見て言うと、藍は「あ、ちょっとプールに落ちちゃって・・」と妙な返事をした。
「ふーん、気をつけなよね。おねーちゃん、おっちょこちょいなんだから・・」
秋は呆れ顔で消えていった。
藍は秋がそれ以上詮索しなかったので、ホッとして自分の部屋に入った。
藍は部屋に入ると、今日あったひどい出来事が頭の中に蘇ってきた。
「あぁ、あんな姿を見られるなんて・・その上写真まであるし、どうしよう。」
藍は恥ずかしさや悔しさより、昨日の写真が吉田の手にあることが心配だった。
ネガを手に入れなければ、取り返さなければ・・・いつまでもあんな恥ずかしいことをされてしまう、いや、もっと酷い目に遭わされるかもしれない・・・そう考えると震えが止まらなかった。
「あっ、体操服乾かさなきゃ・・」
藍は無理に心配事から気をそらせると、かばんからビニール袋に入れておいたTシャツとブルマーを取り出した。
それはまだ、ぐっしょりと濡れたままだった。
「まだこんなに濡れてる・・・でも私、どんな姿を見られてたんだろう・・」
またあの時の恥ずかしさが蘇ってきた。それは、今までの藍なら絶対に考えられないことだったが、ふと「その時の自分を見てみたい」気がした。
「どんな恥ずかしい姿だったんだろう・・」
藍はどういうわけかそう思うと、濡れたTシャツとブルマーを取りあげた。
ブラウスを脱ぎ、ブラジャーは濡れてしまうので・・・というより「あの時と同じ」にするために外すと、濡れたTシャツを頭からかぶった。
パンティはすでに脱いでいたので、直に素肌の上にブルマーを穿いた。
冷たい感触が全身に走った。
「あぁ、気持ち悪い・・」と思った。が、藍はすぐに脱ごうとはしなかった。
藍の部屋には大きな鏡があった。いつも仕事の練習のとき、この鏡の前で自分の全身を写している。その鏡の前に立ってみた。
濡れた体操服を着た自分がその中にいた。
Tシャツは肌に張り付き、裸でいる以上にセクシーだった。乳房の形がくっきりと浮き出し、乳首がはっきりと透けていた。
濡れたブルマーは光沢が妙にいやらしく映っていた。股間も、その形が浮かび上がっている。
「あぁ、恥ずかしい・・こんな格好を・・・見られてたなんて・・」
藍は恥ずかしかった。耐えられないほどの恥ずかしさだった。
その恥ずかしさから逃れるように、急いで両手でしっかりと胸を隠した・・・が、同時に違う自分が、もう一人の自分がそこにいることにも気づいた。
「もう一人の藍」は、普段では絶対に考えられないことを藍にやらせようとしていた。
この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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アブナイ体験とSMチックな官能小説